あちゃみ

ラストナイト・イン・ソーホーのあちゃみのネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

音楽とファッションがオシャレな映画。
サンディが殺される夢がミスディレクションだけど、登場人物少ないし管理人さんなのは驚きだけどまぁ消去法でって感じかな。
丁寧な作品だった。


あらすじ
ファッションデザイナーを志すエロイーズのもとに、デザイナー学校の合格通知が届いた。エリーの夢を応援する祖母は大喜びし、「ママもきっと喜んでいる」と、エリーに言う。エリーの母は昔に亡くなっているが、エリーには霊感があり、時々母の姿を見ることがあるのだ。田舎を出て、ロンドンで生活するために、エリーは荷造りを始める。孫を心配する祖母は、「ロンドンは誘惑が多い街だから気をつけるように」と注意する。新生活に心躍らせ、エリーは田舎をあとにするのであった。
ロンドンに着くなりタクシーの運転手からセクハラを受けたり、学生寮のルームメイトにからかわれたりと、期待通りの楽しい新生活とはならず、エリーは戸惑いを隠せない。派手なルームメイトのジョカスタや、その友達となかなか馴染むことができず、早くもホームシックになりかけるが、あるときふと、掲示板で家の間貸しについての広告を見つける。実際に向かってみると、ソーホーにある一人暮らしの厳格そうな高齢女性の家で、間貸ししているという2階の部屋を案内された。レトロな部屋をエリーは気に入り、寮を出てこの部屋で暮らすことに決める。

ソーホーの家に引越しをして最初の夜、シラ・ブラックのレコードをかけて眠りに落ちたエリーは、不思議な夢を見る。夢の中でとある建物に入り、鏡を見ると、写っているのは自分ではなく、見覚えのないブロンドの美女だった。どうやらこの美女と自分の行動はリンクしているようだ。彼女はサンディという歌手を目指す女性で、この店でデビューをするために、オーナーに直接交渉しにきていた。オーナーに会いたいというサンディに対し、バーテンダーは「ジャックと話しをしろ」とアドバイスをする。ジャックはこの界隈で、スターを目指す女性を束ねている人物だ。サンディはジャックと交渉し、自らのデビューを約束させ、次の日に会う約束をする。ジャックがサンディの首筋にキスをするが、そのとき鏡に映っているのはサンディではなく、エリーであった。夢はそこで終わり、目覚まし時計の音でエリーは目を覚ます。現実世界で自分の首筋にキスマークがあることで、夢と現実がリンクしていることにエリーは気が付く。エリーはジャックとサンディの恋愛体験がまるで自分の体験のように思え、魅惑的なサンディとリンクすることで、しばらくこの不思議な体験を楽しんでいた。サンディが夢の中で身にまとっていたドレスを洋服のデザイン案の参考にし、髪をブロンドに染めたり、サンディと似たファッションをしたり、周りが驚くほどに見た目も変化する。

ある夜、エリーはサンディの初舞台の夢を見る。華々しく歌手デビューするサンディがみられると思いきや、初舞台は大勢のバックダンサーのうちの一人として踊っていた。内容も男性の観客を喜ばせる、卑猥なものであり、あきらかにサンディは不満げであった。曲が終わり、楽屋へと戻るサンディの元へエリーは向かう。イライラを募らせたサンディは鏡を素手でたたき割り、手にけがを負ってしまうが、そんな様子にお構いなしに、ジャックはサンディを呼びつけ、男の相手をさせようとする。拒否をするサンディにジャックは、「舞台に立ちたいんだろ?なら男たちにサービスしないと。皆やってる、自分は特別だと?」と、冷たく言い放つ。その場から逃げ出すサンディだが、周りの女たちが夢をかなえるために色々な犠牲を払い、壊れていく現実を目の当たりにする。サンディはソーホーの部屋に逃げ込み、ベッドに横たわっていた。なぜか、ジャックの紹介した男が部屋にいて、サンディを襲おうとするが、それを見ていたエリーは「触るな!」と叫ぶ。その瞬間、エリーは目覚ましの音で目覚めるが、先程の男に腕をつかまれる。それも夢で、再び目覚ましの音で目を覚ますのであった。
夢で恐ろしい体験をしたエリーは精神的に不安定になる中、バイト先のバーで怪しい老人に声をかけられる。老人はなぜかエロイーズの名前を知っており、サンディを知っているかのような発言をする。その夜、エリーは眠れずにベッドに腰掛けるが、ひとりでにレコードがかかり、ジャックに無理やりドアの外へ連れていかれる。扉の向こうで再びサンディとリンクし、自暴自棄になって踊るのであった。サンディは複数の男と代わる代わる酒を飲み、その度に違う名前を告げる。エリーは、次第に壊れていくサンディを鏡の中で心配そうに見つめていたが、男たちの中で、サンディが本名と違う名前を名乗ったことを見破った男がいた。その男はサンディに、「早く足を洗え。君はいい子だ。」と忠告をし、鏡で自分の姿を見るように言う。サンディは鏡を見たがらないが、エリーは鏡の中から必死に自分を見るように叫ぶ。エリーが鏡をたたき割り、サンディを抱きしめたところで夢は終わる。

様子のおかしいエリーを、同じデザイン学校に通うクラスメイトのジョンは、ハロウィンパーティーへと誘う。自宅に戻りたくないエリーはジョンと一緒にパーティー会場へと向かった。最初はパーティーを楽しんでいたエリーだが、会場でも男たちの亡霊とサンディの幻影を見てしまう。パニックになり、パーティー会場を飛び出したエリーに、ジョンは「なにか俺にできることは?」と言う。エリーは「一緒にいてほしい」と答え、2人はキスをした。エリーはジョンを自室に招き入れ、愛し合おうとした瞬間、サンディがジャックに襲われている幻影を見る。エリーは驚くが、ジョンには見えていないようだ。ジャックの手にはナイフが握られており、サンディは刺殺されてしまう。エリーはパニックに陥り、騒ぎを聞いて大家が駆けつける。大家のミス・コリンズは、エリーがジョンに襲われたと思い込み、ジョンを追い出した。
エリーは警察に、サンディがジャックに殺されたことを伝えるが、頭がおかしいのではと、相手にされず追い返されてしまう。エリーは自身で真相を探るべく、60年代のソーホーで起きた、女性殺害についての記事を探し始めた。エリーを心配して追いかけてきたジョンに、エリーは自分が見たサンディ殺害の件を伝え、それを聞いたジョンは、昔の事件の記事を探すのを手伝う。懸命に事件の記事を探すが、なかなかそれらしい記事は見つからなかった。そして、図書館でもまた、クラブの男たちの亡霊を見てしまう。もう限界だと、エリーは男にむかってハサミを振り上げるが、目の前にいたのは同級生のジョカスタであった。間一髪のところでジョンが止めに入ったが、憤慨するジョカスタを残し、エリーは街へ飛び出してしまう。
バイト先のバーに来たエリーを待っていたのは、度々現れる銀髪の老人であった。エリーはこの老人こそが、サンディを殺したジャックなのではないかと問い詰める。そんなエリーを、老人は軽くあしらい、バーを後にするが、その直後、道路に出た老人は車にはねられてしまう。バーの上司に老人の名前を聞いて、事故死した老人の正体がジャックではなく、昔サンディを救おうとしていた警察官であったことを知ったエリーはショックを受ける。事実を知った混乱と、男たちの亡霊に連日追われて精神状態が限界になったエリーは、田舎の祖母へ助けを求めた。「明日の朝迎えに行く」と言われるが、一晩も耐えられないエリーはジョンに車を出してもらうことにする。荷物をまとめるためにソーホーの自宅に戻り、大家であるコリンズにここを出ていくことを伝えると、コリンズは、少し落ち着いてお茶を飲んでいくようにすすめ、「女性が殺された件で家に警察が来た」と話し始めた。そして、その死んだ女性が自分であり、昔歌手を目指していた真実をエリーに告げる。サンディの正体は、若き日のコリンズであった。コリンズの言うサンディの死は、肉体的な意味ではなく、歌手を目指していた頃の輝かしい自分が殺されたことを意味していた。自分を凌辱した男たちをサンディは自分の部屋で殺し、死体を床下に隠していたのだ。驚きを隠せず、震えながら「警察には言わない」とエリーは言うが、お茶に薬が盛られていたようで、意識が朦朧とし始める。家の前でエリーを待っていたジョンが、異変を感じ、インターホンを鳴らすが、迎え入れたコリンズに腹を刺されてしまった。火事と薬で意識が朦朧とする中、2階へ逃げ込むエリーを、包丁を持ったコリンズが追い詰めていく。エリーはなんとか部屋へ逃げ込むが、サンディに殺された男たちの亡霊に襲われてしまう。部屋にあった電話で助けを呼ぼうとするエリーだったが、パニックになり、なかなか受話器をとることができなかった。そのとき、亡霊の1人が受話器をとり、「あの女を殺せ」とエリーに言う。部屋に入ったコリンズは亡霊たちを見て驚くき、自決しようとするが、エリーが抱きしめて止めた。燃え盛る炎の中、コリンズは1人部屋に残る。エリーとジョンは、無事に救出されたのであった。」
事件からしばらく経ち、エリーは学校のファッションショーで華やかに成功を収めていた。観客席には笑顔で拍手するジョンと、田舎の祖母の姿もあり、鏡には優しく微笑む母が映っていた。控室で、「ママはきっとあなたを誇りに思っている」と、祖母はエリーを抱きしめる。「もう知っているよ」と答えるエリー。もう一度鏡を見ると、優しく微笑み、手を振るサンディが映っていた。ウィンクするサンディに応えるように、微笑みながらエリーが鏡をつつき、幕を閉じる。
あちゃみ

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