コーディー

幸福路のチーのコーディーのレビュー・感想・評価

幸福路のチー(2017年製作の映画)
4.0
圧政も何のその。幼いチーは窮屈な世界も空想で彩り未来へ羽を広げる!けれど成長につれて何となく身の丈を知り、見える景色や幸せも形を変えていく。信じた理想とのズレに自分を見失いながらも再びあの頃の幸福路で自分を探るチーの姿、国や歴史や文化を超えた普遍的な心の揺れに優しく寄り添う凄く良い映画でした。

台湾出てアメリカで暮らすチーが祖母が亡くなったという知らせにより帰郷するところから始まる物語。途切れなく頻繁に時代を行き来し、その度に背景にある歴史もチーの変化に影響する。慌ただしいけど素朴なアニメや雑味ない言葉は端的に人々の心情を映し気付けば大胆な空想諸共、垣根をを超え響く。

中華民国による長期戒厳令や弾圧、そして密になる米国との関係など自国のアイデンティティの喪失がチーの揺らぎに影響し、それは台湾が民主化に向け歩もうと払拭されない。けど婆ちゃんや幼馴染みベティの様に変化に揉まれた先で何を信じて生きるか?そんな揺れない芯を育む人との関わりがとても温かい。

正直観る前はこの絵に感情移入できるのかな〜って思ってたけど全然心配なかった。超泣いたw
統治時代もあったのに親日な人も多いって聞くし割と日本に近い感覚や馴染みのアニメなどスッと入っていけた。
主題歌と言い〝この世界の片隅に〟みたいな厳しさの中の柔らかさがとても心地良かった。