KentaC

嵐の中でのKentaCのレビュー・感想・評価

嵐の中で(2018年製作の映画)
3.9
夫と娘と幸せに暮らすベラが、古びたテレビを介して繋がった25年前の世界を生きる少年ニコを救ったことで人生が改変され、元の人生に戻る為の方法を探す物語。

『バタフライ・エフェクト』や『シュタインズ・ゲート』を彷彿とさせる時空改変系SFサスペンスで、あのあたりの作品に触れているとそこまで真新しさはないものの、ストーリーと伏線回収の秀逸さでしっかり惹き込んでくれました。

過去が変わったことで未来が変わり、その間の失われた人生を自分だけが記憶していてその事実をヒステリックに主張し続ける、というベラの状況と行動は、
改変後の世界線を生きる人たちから見たら奇異で精神を病んだようにしか見えない…という、その伝わらなさ、理解してもらえないという恐ろしさの描き方がとても上手だったなと。
それにしても、ベラがその現状を受け入れられなさすぎて、世界が改変されたという状況把握を一向にしようとしないのが若干観ていてツッコミたくなりますが、
ある意味追い詰められた人間の混乱ぶりをリアルに描いているのだろうとも思います。

分岐した人生それぞれの描かれないその行く末に切なさや哀しみも覚えつつ、
ベラの下した選択からは、
「自分が生きる人生を選択するのは自分」というメッセージ性を感じ、
我々が生きている現実は過去を改変できないからこそ自分の今歩んでいる人生を大事にするべき、ということを映画を通して再確認できたような気がします。
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