このレビューはネタバレを含みます
「エントロピーが減少すると"逆再生"に見える。……おそらく核融合の逆放射」
---触ってないのに?
---見方の問題よ、
"取った"とも"落とした"とも言える
---原因と結果が逆だ
---我々の時間軸ではね
---意志は関係ない?
---あなたの手で起きた
---…直感か
「物理学では陽電子は時間を遡る」
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複数世界が同時並行的に存在することを感覚に訴えかけてくる。
何がそれを可能にしているのだろう。
タイムトラベルを扱った作品は他にもたくさんある。バック・トゥ・ザ・フューチャーとか。
パラレルワールドものもたくさんある。時をかける少女とか。
他に類を見ない本作の特徴は、やはり逆再生映像の使い方だろうか。
銃弾の当たった窓ガラスのヒビから、煙が出てくる映像はとても新鮮だった。
彼が「外」に出る時、説明を聞く彼を見ている私自身が緊張し、「外」はどうなっているのだろうと想像してドキドキした。
最後に彼と別れる時、2人の向かう時間の進行方向が違うということを、なぜか違和感なく受け入れることができた。腰から下がった金属片の見せ方も良かった。
1人は全てを知っていて、1人はまだ何も知らない。