ナンセンスロケット

TENET テネットのナンセンスロケットのレビュー・感想・評価

TENET テネット(2020年製作の映画)
4.5
【時間を逆行させるという新しい境地に至ったノーラン。歴史を変えるか歴史に埋もれるか】

2020年、待ってました、劇場公演!
まずはコロナ禍の中上映できた映倫に感謝。

これはジョジョでいうスタンドなのか!?
既に起こったことが現実にリプレイされるのだ、ジョジョーー! (みたいな)

待望のテネットはノーランらしい時間軸はもちろんのこと、逆行、反転という極めて新しいSF概念を取り入れたあたりはやはり天才。

戦う相手は過去の時間を掛けた未来人。第二次世界大戦までは領土(土地)を争ったが、この先は時間を奪い合う。
順行をベースとする現代人にアルゴリズムを用いて逆行をベースに組み替えたい未来人。
ここまででも、ついてこれる?

過去メメント、インセプション、インターステラーと続いた中で恐らく最も難解。
これは、ノーランが2020年にかけた挑戦、前作ダンケルクをかがみながら最もジャンプした作品だろう。

第三次世界大戦を阻止する「名もなき男」、相棒のニール、敵対する武器商人セイターと愛想をつかすその妻ヒロインのキャット。
序盤のオペラシーンから伏線張り巡らされ、その後は見ることに精一杯だろう。少なくとも初見は。

重低音が織りなす演出は凄まじく、見ていて飽きない。一方でストーリーの深さは演出しきれず、謎とヒントを残す庵野の「エヴァンゲリオン」やデビットリンチの「マルホランドドライブ」も匂わせる。とはいいつつ、現実は高いんかな。

まずは一見外観を掴みながら、パンフレットの購入は必須、その上で再見するのか。
これが正しいとは思わないが、今の世にはカンターカルチャーとして存在感がある。