けーな

ヒキタさん! ご懐妊ですよのけーなのレビュー・感想・評価

4.0
不妊治療に挑む夫婦を描いた作品。観て良かったと思う。コミカルで笑える部分を交えながらも、うるっとする展開なのが、良かった。

実在する作家のヒキタクニオさんが、自身の経験を綴った物語。

桜の堤防が、とても美しかった。長野県岡谷市の横河川の堤防だそうだ。

私自身、不妊治療の経験は、無いけど、息子を産む時に、切迫早産で、かなり壮絶な入院生活を送った経験があるので、無事に子供を産むってことが、当たり前のことのようだけど、実は、当たり前のことじゃなくて、どれだけ奇跡的なことなのかを、身を持って知っているので、とても身につまされた。

この映画の良かったところは、ヒキタさんが主人公で、ヒキタさんの目線で描かれているということ。だから、コミカルに描けたのだと思う。ヒキタさん目線だから、サチも、明るくて、強い女性に描かれていたのだと思う。

不妊治療を、女の側から描いたとしたら、もっと辛くて重苦しい部分が出てきたんじゃないかと思った。例えば、この映画では、サチが、辛い検査や施術を受けているところは、一切出てこない。それに、子作りするまでは、禁酒したり節制するヒキタさんだけど、妊娠したと分かった瞬間から、お酒飲んで、騒いでる。女にとっては、そこから、ようやくスタートなのにね。お酒も、飲めないし。そういう描き方が、この映画のいいところなので、批判しているわけじゃなくて、目線が違うと、見え方が変わるものだなって、強く感じた映画でもあった。
けーな

けーな