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ロマンのBigsのレビュー・感想・評価

ロマン(2019年製作の映画)
1.0
第5回 大阪韓国映画祭にて。
主演イ・スンジェさんのトークショー付。

まず大前提として、ここ最近韓国と日本が政治的に緊張状態にある中で、本映画祭のような文化交流は非常に意義深いですし、全プログラム無料開催、日本初公開作も上映、韓国の著名な俳優さんを招くという点でとても志の高いイベントだと思います。
今後も是非続けていってほしいです。


というのがもちろん前提としてありますが、作品単体の評価としてはかなり厳しかった。
ここ数年、日本で公開された超ハイレベルな韓国映画群を観てると、ちょっと比較するのが申し訳ないようなクオリティの作品でした。
上映中、退席した二人組の方がおり、それがどういう事情かわかりませんが、もし質的な問題なら僕も気持ちはよくわかります。
112分がめちゃくちゃしんどかった。周りには泣いてる方も散見されましたが。

もう全体的に心情や状況を台詞以外で描こうという気が殆ど感じられない。初めからひたすら会話の応酬で辟易しました。これだけ絵的(すなわち映画的)に描写する工夫がないと、物語として真に伝わってくるものはないですね。。。その積み重ねがないから終盤なんてほぼどうでも良かった。
そして登場人物が泣くのもやたらと多いし、早い。
あとは過剰に説明的で、扇情的な劇盤。ここ泣くとこですよー的な曲ばっかりで、これもげんなり。
台詞、役者の演出、劇盤が全て扇情的で一方向に向かってる気がして、こんな深みのない映画は久しぶりに観た気がする。

加えて、ストーリーも雑だし不快だったなあ。
認知症の人が放置されてる状態を、イノセントでピュアなものとしてお涙頂戴演出するのは本当に不快だった。
身寄りがないわけではないのに、老老介護になってしまってて、その点では息子がほんとクソ野郎だと思う(ちょっと前まで家でスネかじってて、就職したわけでもないのに家を離れて、親のことも全く気にかけない)。もちろん映画でクソ野郎を描いてもいいけど、その場合は作り手がそのクソさに意識的であることが必須だと思います。ストーリー的に回収するとか、相対化するとか、アイロニーやブラックユーモアとか。そういうことがないから、まあ要は作り手はこの息子を悪いと思ってなくて、物語に無頓着でご都合的なだけなんだなと邪推してしまいます。
ラストに自殺しようとタクシー飛ばすのも、他人を巻き込む気まんまんだし、そういう無頓着さにストレートに感動したり涙したりとか無理があるよ。
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