1985年11月、ベルギーのスーパーマーケット「デレーズ」で起きた強盗事件。10人以上の死者を出した惨劇の生き残りである当時9歳のダヴィッドとその祖父の、事件の真相の解明を願い続けた25年間を描いた実話ベースの作品。
あらすじで一家に何が起こるかは分かっているので、冒頭の家族のハッピーな光景が悲し過ぎる。そして事件の凄惨な描写、遺体の確認など、しばらく辛いシーンが続いた。
この事件のことはもちろん、80年代始めからベルギー国内では同じような強盗事件が何件も起きていたことなど全く知らなかった。
孫のために絶対に犯人を見つけ出す！と、ダヴィッドの目撃証言やギャング絡みの情報を提供するも、警察は木偶の坊だし憲兵隊も政治家も司法も誰も彼も動いてくれない。
どうもこれはただのギャング強盗じゃないらしい…？
なにやら得体の知れない黒幕がいる模様。
真相になかなかたどりつかない回りくどさで中盤はややもっさりしてしまったものの、生活や老いることへの不安、孫との確執や成長への喜びも盛り込まれた、人生の25年という歳月の重さがズシリと胸にくるボリューミーな一作。
事件を風化させないことの難しさと大切さを改めて実感させられる。
