次郎

パラサイト 半地下の家族の次郎のレビュー・感想・評価

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
4.5
やっとこさ鑑賞したんだけどもう、映画的快楽の嵐。それは本作がワイドスクリーンな画面サイズを前提とした構図で撮影され、シナリオが作られているということであり、半地下の映し方、豪邸でのカメラの動かし方、いずれもテレビサイズの画面比では全く別物になっていただろう。また編集とカットのリズムについても練りに練られており、とくに前半40分過ぎ、序盤のクライマックスとでもいうべきシーンの編集の巧みさについてはYoutubeで素晴らしい解説動画が上がっているのでそちらを見てもらった方が手っ取り早い。

パラサイト  完璧なモンタージュ(日本語字幕有り)
https://www.youtube.com/watch?v=ma1rD2OP85c&t=304s&ab_channel=Nerdwriter1

優れた作品は優れた構造に宿るのだと確信しているかのように本作は徹底して映画的なのであり、だからこそ本作は映画という媒体では観客に絶対伝わらない「匂い」が重要な要素となり、それが観客を置いていく最後の1ピースとなっている。それすらも全てが映画という媒体から逆算して作られた、必然の産物なのだと何度も思い返してしまう。

もちろん、格差をテーマとした物語と登場人物の妙だけ取っても1級品の出来。『タクシー運転手』でも思ったが、ソン・ガンホの赤ら顔が世界一似合うおじさん顔はそれだけで作品として成立するのズルい。
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