怒り、恨みの表現が巧妙だと思った。男は主人から直接何か罵倒された訳でもない。
この作品の強烈なテーマである格差をひっくり返し、解放するためには、あの瞬間が決定的であり、最善の行いだったのだろう。
ジョッキングがゆえに、そちらに問題が引っ張られてしまうが、それほどに根深い怒り、恨みを生み出しているのだ、という事を観てる側に突きつけているような気がした。
地下に住む男の「ずっと地下が良い」というセリフが、格差の構造が単純ではない事を示していた。
序盤のコミカルからダークへの急流すべり。洪水の日の勾配の夜の街がなんとも魅力的。