板チョコ

パラサイト 半地下の家族の板チョコのレビュー・感想・評価

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
5.0
そこら辺のホラーより怖い話だった。

金持ちの家に一家で潜り込むコミカルな前半と、地下夫婦を見てしまってからの重苦しい後半、どちらも好きだし「更に下があった」的な絶望感がリアルで良かったです。
話が2転3転する複雑さと、強いメッセージ性、貧困を描いていながらも大画面で鑑賞してもうるさくない完成度の高い映像(この辺日本映画にも見習ってほしい、)と、非の打ちどころのない映画だと思う。役者さんの演技も全員上手くて、妹ちゃんの可愛い容姿に低い声、迫力のある(性格悪そうな)態度が本当に好きでした。

あと、地下男が「リスペークト!!」と叫ぶ姿がすごい好きでした(笑)
この、自分の貧困の諸悪の根源であるはずの富裕層には「自分の生活を支えてくれるいい人」として敵意を向けずに、自分と近い境遇の半地下家族は「自分の生活を脅かす外敵」として排除しようとするのが、この映画の闇が深い部分であって、だからこそタイトルは皮肉を込めて「寄生虫」なんだよなぁ。。と思いました。
自分が楽であることが最優先で主義も思想もない、これが貧困のいきつく姿ということかなぁと。

また、ポンジュノ監督の、
スラム街の貧困家庭のリアルや、中年男女のアジア人顔の容赦ないリアルさをノリノリで撮っているところ、世界の美しさよりもシュールさと醜さを絶対的に好む性癖にはとても共感します。
国家からの圧力に負けずに今後も映画を作り続けてほしいです。
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