Nana

パラサイト 半地下の家族のNanaのネタバレレビュー・内容・結末

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

2回観て、ようやく言葉にまとめるだけの整理がついてきた。

高台にあるパク家、半地下に住むキム家。
雨が降って無邪気に喜べる豊かな一家と、雨によって甚大な被害を被る貧しい一家。
キム家のパン地下の家は、パク家の「アメリカ製のテント」よりも雨に弱い。 
パク家といえども、さらにその高台に家が沢山建っている。韓国において、非財閥のIT企業はトップでもなんでもないという皮肉な現実。

ギテクとチュンスクは「同じニオイ」と言われても洗剤のことだと思っている。でもそこではない。地下の染み付いたニオイは、どれだけ演技をしても見た目を見繕っても付きまとってくる。
境界を踏み越えて上に登ることは難しい。


印象的なシーンが続く映画だったけれども、中でも、ミニョクから家庭教師を紹介される場面が心に残っている。
彼の「学科の同期を紹介したら彼女が危ない、でもお前なら信頼できる」というような台詞。これは「信頼」ではない。意識的にしろそうでないにしろ、こいつになら取られないだろ、という決めつけがある。
こういった嘲りを、寄生されるパク家は大抵の場合は表に出さない。その点本当に「良い人たち」で、そこがまた辛い。

ミニョクの「彼女が大学に受かったら付き合う」という言葉からは、ダヘの意思はまったく見えない。彼女が前任家庭教師とも関係を持っていたとも思えないし…(たぶんね)
非常に男尊女卑的で、嫌な感じだなと思った。近年の韓国文学を読むに、これが韓国社会の現実なのだろう。

ダヘよりもダソンが大切にされ、ギジョンの才能は兄のギウや父のギテクすらも正確には把握していなかった様子からも、貧富の差だけではない韓国社会の歪みが見て取れた。

ダヘからしてみても、唯一ちゃんと自分を見てくれたギウは大事な存在だったんだろう。
だからこそ、パーティーの場面で唯一キム家の人を心配している。ダヘがギウを見捨てなかったということ。それはこの映画の救いのような気がした。
Nana

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