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新感染半島 ファイナル・ステージのkaitoのレビュー・感想・評価

1.4
『新感染半島 ファイナル・ステージ』

劇場で観る一本目は『新感染半島 ファイナル・ステージ』。本作を監督したヨンサンホ監督による一作目『新感染 ファイナル・エクスプレス』はかなり好きなパンデミック・スリラー映画だった。非力な市民がいかに立ち向かっていくか、人間同士の戦いなど物語的にも映像としても見応えのある映画だったように感じる。

本作はどうだったのか。
結論から言うと、個人的にはかなり残念な結果になってしまった。あまり期待をせずに観に行ったものの、それを下回る結果になってしまったのが非常に残念である。

ざっくりとしたあらすじは、
「前作から4年後の世界で、香港に逃げてきた元軍人のジョンソクは、韓国に大金が積まれたトラックを運んでくるという任務を遂行するためにまたその地に足を踏み入れる。」である。


🚨ここからはネタバレあり🚨

好きだった点と悪かった点に分けてレビューする。 

好きだった点⭕️

物語の冒頭部分は普通に好きだった。前作で描かれていた世界観や雰囲気をしっかり残しつつ、拡大していくのかなと思わせる冒頭だった。最初のカットに出てくるゾンビは気味が悪くて、ひさしぶりに『新感染』シリーズを観る自分にあの世界観を思い出させるようであった。船内のカットも個人的には好きだった。新幹線同様限られたスペースで感染の広がりが非常に恐怖として感じられた。

また良かった点はとある演出である。韓国国内に着き、主人公が窓ガラスに近づくシーンがある。最初は暗くて見えなかったが、月明かりが差し込むことでその全貌が明らかになる。そこには大量のゾンビがぎっしりと詰まっていて身の毛もよだつほどのシーンであった。ここはかなり好きな魅せ方。
良かった点は以上

悪かった点・好きじゃない点❌

映像がかなりクソだった。セットや照明に違和感があるから、夜には見えない。主人公たちの顔をよく見せたいからなのか、その意図はよくは分からないがセットと照明が変だから主人公たちが浮いて見えてしまう。また映像についてだが、CGを使ったシーンが鳥肌立つほど酷かった。カーアクションを長く映すことが多かったが、PS2といい勝負なのではないかというくらいクオリティが低い。ここだけゲームの映像を見ているようで同じ映画とは到底思えなかった。

演技と登場人物について
子供の華麗なドライビングスキルもなんか漫画・アニメみたいな演技で、めちゃくちゃ冷めてしまった。子供たちが悪い意味で子供らしくない。また登場人物たちをよく描けておらず、表面的な人物の数々だから、誰かが死んだところで感動的な感情を抱くこともなかった。好きになれるキャラクターは誰一人存在しなかった。

脚本やツッコミどころ
結構穴があった。というかどうしてその行動を取るのか、疑問を抱くシーンがあった。一つ思い浮かぶのは、「トラックの運転手を退かそうとするシーン」。あのシーンもゾンビの頭に1発撃ち込むなどするのが、定石な気がする。(てかそもそも話し声が聞こえるのだからすぐに襲ってくるだろ運転手ゾンビ)ましてやサイレンサー付きの銃なんだから余計そうだ。インパクトのあるシーンを作りたいがための行動にしか感じられなかった。ラストのシーンは、ヘリと母のいるシーンがかなり離れているにもかかわらず子供がマサイ人並みの視力で状況を把握しているし。ゾンビを何百体も薙ぎ倒しても、車は結構無事だし。ツッコミどころはかなり多い。前作で使用されていた武器が拳やバットであったのに対して、今作は銃だから追い込まれる恐怖も全く感じられない。


まとめ
現実味がある世界を作りたいのかそうじゃないのか、メッセージ性はなんなのか、色々と理解し難い映画になってしまっていた。ゾンビだし娯楽だからいいじゃんという意見もありそうだけど、シンプルに娯楽としても面白くはなかった。ギャグは寒かったし、最後は急に真面目になるし、トーンに一貫性が見られない。新年一本目としては非常に残念な結果になってしまった映画だった。
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