KH

新感染半島 ファイナル・ステージのKHのレビュー・感想・評価

3.8
年間ノルマ60本中38作品目。
『新感染半島ファイナルステージ』を観させて頂きました。
前作がかなり良かったのですが、
根本的なパンデミック発生の原因や、
また問題の解決などの要素が全く無く、
辛うじてゾンビのいない釜山を死守しつつ、軍による隔離と言うエンディングだったので、今回はその辺も含めての内容かなーと期待しつつの視聴となりました。
ちなみに予備情報は全くないです。前作を見ようとした時に、続編がある事を知ったレベルです。
1作目がヒットするとその続編は転ける可能性があるのでそこら辺も厳しく観ていきたいと思います‼︎

まずは、ネタバレなしの率直な感想をば述べさせて頂きたいと思います。

『前作よりもまた違った意味で良作として仕上がっているように思いました。前作はゾンビによるパンデミックと、列車という縛りがありましたが、
今作では前作になかった銃撃戦や、カーチェイスなどもあって迫力満点で、またドラマパートも感動的な仕上がりになっており、ゾンビモノの中ではほぼほぼ満点と言っても良いと思いました。確実にオススメできる一本になっております。』

作品を視聴した後に予告編を見たのですが、カーチェイスと銃撃戦は予告に載っていたのでネタバレなしとさせてもらいましたが、
前作は主人公が父と娘の一般人だった為、また舞台が走行中の列車の中もあり、上手く舞台装置を活かした立ち回りが出来ていましたが、今作では武装して真っ向からゾンビと対峙する為、ド派手なドンパチや、
またカーチェイスも追加されて完全なるアクション映画として成立していたのにはびっくりしました。


そしてここからはネタバレありきの感想になりますので、まだ見てない方はここらで戻って前作から楽しんでいただくとして、

まず舞台は前作ファイナルエクスプレスから四年後の釜山。
前作で妊婦と主人公の娘が逃亡したところなので、もしや出てくるのかな?と期待したりしてましたが、出てきませんでした。まぁそれは良いんですが、

パンデミック発生から車で移動する元軍人の主人公ジョンソクは、姉夫婦家族と港へと向かっている途中、ある家族を見捨てるところから始まる。
また、今作でもパンデミックの直接の発生理由は分かっておらず、それが人為的なパンデミックなのか、それとも事故なのかは不明。
また安全かと思われていた釜山でも既にバイオハザードが発生しており、大韓民国は全面的に壊滅状態となっている。
また被害が北朝鮮まで広がってないところを見ると、おそらくは国境のバリケードを強化したか、もしくは配備された北朝鮮軍によりゾンビの掃討が完結してるのかなと思われる。

韓国から船で脱出を図ったジョンソク家族だったが、船内に感染者が入り込んでおり、そこで姉と甥を失ってしまう。
四年後、香港での彼ら韓国の移民の立場は正直言ってかなり複雑で、韓国人と言うだけで感染者ではないか?と虐げられている。

そんな折、壊滅した韓国に大金を積んだトラックの回収を依頼される。報酬は回収した金額の半分。
現在の自分の置かれた状況や、家族を失った義理の兄について行く形で再び韓国へと戻る。
ここらの展開は少し前に見た『アーミーオブザデッド』にも少し似ている。

大金の積まれたトラックを発見するも、壊滅した韓国での生き残った民兵集団631部隊に阻まれトラックごと強奪される。
サーチライトや照明弾でゾンビを操作した戦術に絶体絶命だったが、少女の運転する車で間一髪助けられる。
四年も放置されたトラックや車がなぜ普通に走るのか?など野暮なことは言わないが、ここで一つわかった事は、前作ではパンデミック発生から数日だったので、噛まれたゾンビは死亡しておらず、凶暴化した生存者と思っていたが、
今作では明らかに生ける屍として少なくとも四年は経っているので、
完全なる死者が動いてる事になっている。エネルギー源は一体なんなのだろうか?
寄生虫の様に宿主に寄生し、操るタイプの虫自体は実はいるが、
死体を動かす事が果たしてウイルスに可能なのだろうか?
まぁその辺は科学的に説明は出来ないからこそゾンビ映画なのだが、

そこからのゾンビを振り切るド派手なカーチェイスは夜間にライトをつけるわけにもいかないためか、真っ暗の中暗視ゴーグルを駆使しながらのドライブなのだが、
そこら辺は事情が事情なので少しもったいない気もしないでもないが、少し見づらい。

助けてくれた少女達が、実はかつて自分が見捨てた家族だった事がわかった後、共にトラックを強奪し、香港へ船で逃げる事を計画する。そこには母親と娘が二人、そしてかつて民兵だった老人が暮らしており、老人は海外と無線で交信しており、あー、おそらくこれは伏線やなぁと思う。

また、奪われたトラックの荷台に取り残された義兄のチョルミンは、荒んだ生活から狂人と化してしまった631部隊に賭けの馬にされてしまう。
それは2分間に放たれたゾンビから逃げ続けると言うもので、かなり雑なギャンブルとなっていた。
またなんとか逃げきった彼らにはお湯なしのインスタントラーメンが袋ごと与えられ、こんなもんじゃ2分間動き続ける体力なんざ3日も残るかいやと思ってしまう。

また、そんな631部隊の中でリーダー的存在のファン軍曹と、そんな彼よりも上のソ大尉だが、
なぜソ大尉みたいな奴がこんな荒くれを仕切れているのか少し謎である。
が、後半プッツンしたソ大尉には少し恐怖の様なものを感じてしまった。

トラックを無事に強奪し、その場から受け渡し場所である港へ向かうのだが、そこでも再び631部隊との壮絶なカーチェイスが待っている。

韓国入りした際に発見した駅のエスカレーター内に閉じ込められたゾンビの大群を利用した戦術でなんとかその場をやり過ごし、目的の港へ着くが、暴走したソ大尉に再びトラックを奪われる。
が、案の定香港人に騙されており、ソ大尉はその場で射殺されてしまう。
が、なんとか残りの力を振り絞り車をバックさせ、『早く金を回収しろ』と慌てふためくギャング達は無惨にもゾンビの餌食となる。

そこへ、無線で交信していたフラグが回収され、なんとかヘリでの脱出となるが、
母ミンジョンは自分がゾンビを引きつけている間に子供達をヘリに乗せてくれとジョンソクに託す、
前作の様な自己犠牲のシーンか??と思うが、そこからさらに一歩踏み込み、ジョンソクはミンジョンを助けるために戻る。
結果的に家族全員助かりエンディングである。

とまぁ、前作では自己犠牲が多く必ずしも良いエンディングとは言い難かったが、今作ではしっかりとそこから進化していだと思う。
またこの作品の特徴なのか、絶対に子供は殺されないのには、少し安心した。
まぁ、冒頭で甥は亡くなったけどね。

とにかく前作以上のスピード感あふれるアクションには文句のつけようもないし、また、ゾンビという食材をうまい具合に料理出来ている点や、ゾンビモノではもはや定番の
『最終的には人間が一番悪い』もしっかり描かれているので大満足である。

しかし僕がジョンソクならば、香港人の連中のことは絶対に信用しないし、金を渡した途端にズドンなどは容易に想像できるので、どうやったらだし抜けるかを画策すると思う。むしろ631部隊をトラックの荷台に大量に待機させ、扉を開けられた瞬間に香港マフィアを逆に皆殺しにし、2000万ドルをそのまま奪う事を計画するかなーとか考えてしまった。
こう言った事を妄想できるのもゾンビ映画の良いところだなぁとかしみじみ考えてしまい。
この作品がかなりの良作だと言えます。

この夏に是非オススメします。
KH

KH