NAO141

罪の声のNAO141のレビュー・感想・評価

罪の声(2020年製作の映画)
3.6
〈グリコ・森永事件〉
1984~85年にかけて起こった食品会社への連続脅迫事件である。江崎グリコの社長を誘拐して身代金を要求。その後も森永製菓など食品会社を次々と脅迫。さらには小売店に青酸入りのお菓子を置いて日本中を不安に陥れ、マスコミにも挑戦状を送るなど、大胆かつ卑劣な犯行であったが、実は犯人は捕まることはなく、2000年に時効が成立してしまっている。昭和最大の未解決事件の一つと言われている。自分はまだ2~3歳くらいで全く記憶にはないが、実際にこのような事件がいま発生したとしても、社会は大混乱になるのではないだろうか…。

本作はその実際に起きた昭和の未解決事件を基にした塩田武士の小説を映画化した作品である。監督は『いま、会いにゆきます』で有名な土井裕泰。脚本はドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』で有名な野木亜紀子。

作中では事件の真相として一つの解釈が描かれているが、本作の見処は〈時効となった未解決事件の真相に迫った作品〉ではなく〈自分の声を使われて事件に巻き込まれてしまった子ども達の人生(その後)〉に焦点を置いているという点であろうか。事件が解決しても時効になってしまったとしても、それとは関係なく事件に巻き込まれてしまった子ども達が現実をどう受け止め、未来に向かって歩んでいくか。この点を中心に描いている点が良かった。

脇を固める俳優陣がなかなかに豪華、かつ、渋い!証言者という形でさらっと登場するだけなのに、このベテラン陣が作品をさらに魅力あるものにしてくれている。星野源の演技、なかなか良かったなぁ。小栗旬は…小栗旬だった笑。それにしてもこんな事件二度と起こってほしくないものだ。小売店の商品に青酸を入れるなんて…買い物が怖くなる。犯人の目的は株価の操作という説があるが、確かに一度こんなことが発生してしまったら、そんなことは簡単なことかもしれない。某寿司店の迷惑動画といい、本当にこういったお騒がせ事件ってやめてほしいよね…。
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