NAO141

レッド・ドラゴンのNAO141のレビュー・感想・評価

レッド・ドラゴン(2002年製作の映画)
3.8
本作はトマス・ハリス原作小説を映画化した作品だが、実は過去に1度『刑事グラハム/凍りついた欲望』としてすでに映像化されている(1986年)。後に公開される『羊たちの沈黙』等が好評だったため、改めて映像化されたのが本作『レッド・ドラゴン』である。2度目の映像化ではあるが、本作がリメイクと呼ばれているのは聞いたことがない……かも。

トマス・ハリス原作小説はそれぞれ
『羊たちの沈黙』(1991)
『ハンニバル』(2001)
『レッド・ドラゴン』(2003)
『ハンニバル・ライジング』(2007)
の順に映画化されているが(『刑事グラハム/凍りついた欲望』は一先ず脇に置いておこう笑)、作品の内容を時系列に並び替えると、
『ハンニバル・ライジング』(2007)
『レッド・ドラゴン』(2003)
『羊たちの沈黙』(1991)
『ハンニバル』(2001)
となる。つまり本作はあの名作『羊たちの沈黙』よりも前を描いた作品であり、レクター博士が何故収監されているのか、どのように『羊たちの沈黙』に繋がっていくのかも描かれている。「FBI捜査官が面会に来る」「彼女の名前は?」という部分で終わるが、我々はそれが誰かを知っている。しかしあえて名前を出さないまま作品が終了するところは、他の作品と線引きをきちんと行っているようにも感じて個人的には良かった。

その個人的な感想として、『羊たちの沈黙』はあまりの名作でお気に入りだが、『ハンニバル』のグロさが自分にはダメで、『ハンニバル・ライジング』も「レクター博士の過去話って必要かなぁ?」と感じてしまいダメだった。しかし、この『レッド・ドラゴン』はレクター博士とグラハムの駆け引きや、猟奇的殺人犯の思考(思想)や生い立ちに重点を置くことで犯人の深い内面の部分を描いている点などがなかなか良かった(グロさも少ないので安心!!笑)。

『真実の行方』という作品で見事なまでの怪演だったエドワード・ノートンが、これまたなかなかの怪演で優雅さもあるアンソニー・ホプキンスと対峙(時に共闘)する構図は面白い。作品としても2段階式で1度終わりと思ったら再度「えっ!?」となる形も良かった。個人的には『羊たちの沈黙』が圧倒的ベストではあるけれども、この『レッド・ドラゴン』もそれなりの良作とは感じる。
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