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エミリーの愛の詩のikumuraのレビュー・感想・評価

エミリーの愛の詩(2018年製作の映画)
3.6
【もっとエミリーディキンソンの詩を読まなきゃと思いました(小並感】

隠棲の詩人、とされてきたエミリー・ディキンソンが、
ほんとうは朗らかで親友スーザンとの愛に生き、詩作の出版も熱心に考えてるような女性だった、
という文芸伝記映画。
一応英文学者が関わってるようだけど、
どこまで学会で固まってるイメージなのかは知りません。
というか数年前に出たQuiet Passionが、あまりに従来のディキンソン像をなぞっているので、
いわばアンチテーゼとして撮られた面もあるよう。

地味なアート系映画かと思いきや、意外にポップな雰囲気も。
一見平易な言葉遣いの奥底に不気味さを漂わせる彼女の詩作に重ねられる映像が面白い。
登場人物の行動の端々に見られる人情の機微やユーモア、
時々カメラを意識した演技になるようなメタな視点、
女性同士の同性愛をテーマに、女性が活躍する物語、
という点で、女王陛下のお気に入りにちょっと似てるかな。
あれよりもセットは凝ってなくて、それも意図的なのかなと感じるけれど。
中年〜初老のエミリーが、ニューイングランドの風光の中で(割と晴れてて春のような陽気ばかりだったのが印象的)
時に少女のように生き生きと、あるいは凛と、悩みを抱えながらも創作とスーザンとの交流を通じて輝いている、
その姿を演じきったチャーミングなモリーシャノンに乾杯。
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