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ストックホルム・ケースのタキのレビュー・感想・評価

ストックホルム・ケース(2018年製作の映画)
3.3
ストックホルム症候群(ストックホルムしょうこうぐん、英語: Stockholm syndrome)は、誘拐事件や監禁事件などの犯罪被害者についての臨床において、被害者が生存戦略として犯人との間に心理的なつながりを築くことをいう。ただし臨床心理学における心理障害(精神障害)ではなく、心的外傷後ストレス障害として扱われる。スウェーデン国外のメディアが事件発生都市名、ストックホルムに基づいて報道した経緯がある。(Wikipediaより)

ストックホルムの事件というのがこの物語のベースとなった1973年のノルマルム広場強盗事件でありストックホルム症候群の語源なのだという。

犯人役がイーサン・ホークなのがズルイとしかいいようがない。視聴者までもするするとストックホルムシンドロームに巻き込んでゆく。そして初めての人質を使っての交渉にパニクってる様子を見てるうちになんだか楽しくなってきて何回か声だして笑った。対する警察も署長みずから犯人との交渉にやってきて、相手が心優しい強盗とわかるやタメ口で煽ってきて余計パニックに陥れたり、人質諸共金庫に閉じ込め催涙ガスを流し込むとか繊細さのカケラもない。その時代の警察がユルかったのか、それともスウェーデン人がユルいのだろうか日本の警察とはずいぶん違う。スウェーデンで最も有名な銀行強盗という触れ込みのマーク・ストロングが演じるグンナーのカツラも最終的にコントの扮装に見えてきてマジメな顔をするほど笑える。一見するとおもしろに寄りそうなところをノオミ・ラパスが演じるビアンカの肝の座った芝居が場を引き締める。なんというか硬質なのにエロいというこの役にピッタリの風体でイーサン・ホークともどもキャスティングの勝利。
ただ、こうなってくると犯人と人質が魅力的すぎて普通の物語になってしまった感はある。ストレスフルなシチュエーションに置かれた人間の不可思議な心理というよりあの警察と首相相手じゃそうなるでしょうねという感想しかわかない。
それにしても刑務所がかなり居心地良さそうで日本の刑務所とはずいぶん違う様子。スウェーデン人の気質や賞罰に対する考えとかけっこうおもしろいんじゃないかという気がする。
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