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シライサンのrollinのレビュー・感想・評価

シライサン(2020年製作の映画)
3.6
【天破活殺】(てんはかっさつ)
北斗神拳の奥義。指先から闘気を放ち、離れた相手の秘孔を触れずして突く。(wikiより)

先週は観ると死ぬ映画を観て、今週は名前を知ると死ぬ映画を観ています!生きてるよ!( ᵒ̴̶̷᷄ᴗᵒ̴̶̷᷅ )

ジョジョ第4部の傑作スピンオフ『The Book』を手掛けた乙一先生によるホラー映画。
シライサンに見つかって間合いに入られた人は眼球が破裂して落命するんですけど、コレは『バイバイマン』やスタンド攻撃というよりまさかの天破活殺ですね。ソーシャルディスタンスなんぞガン無視なシライサンは、こんな所で油を売ってないで、さっさと女帝のいる都庁か聖帝のいる十字陵に向かうべき。

飯豊まりえ、染谷将太、忍成修吾、谷村美月、といった無駄に豪華なメンツを、圧倒的Vシネ画質が包み込みます。
ただしそのチープさは、少し前に話題になったPCゲーム『事故物件』や『夜勤事件』のように、敢えて洗練させないスカスカな空間デザインに通じる怖さがあって逆に良い。目ん玉デカすぎなシライサンの造形も、青鬼とか不安の種といった歴代のネットミームを研究して作られているようで好感が持てます。

個人的に感心したのは、シラシサン自体が現代的な承認欲求モンスターを象徴するが故に、映画内でSNSやインターネットといったデジタル媒体/ソーシャルメディアとディスタンスを置ける点。
貞子パイセンの失敗から学んだのか、『死霊館』シリーズや『来る』、『イットフォローズ』に『ライト/オフ』といった、アナログホラーリバイバルの潮流をちゃんと汲み取って、それでもJホラーのトーンを踏襲しているんだからえらい。

忍成修吾は全作品同じ役やってるんじゃないの?くらいいつもと同じキャラクターでした。まあ一番凄いのは、飯豊まりえの生存戦略スキルなんだけどね。
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