Shin

はちどりのShinのレビュー・感想・評価

はちどり(2018年製作の映画)
4.8
韓国の2大映画賞の1つ青龍映画賞の脚本部門(2019年)において、『パラサイト 半地下の家族』や『エクストリームジョブ』などをおさえ、脚本賞を受賞したとあって、見逃せないと思い鑑賞してきました。

監督のキム・ボラは本作が長編デビュー作。コロンビア大学院で映画を学び、2011年に撮った短編のその後の物語を本作で描いたそうです。

ストーリー自体に大きな起伏があるわけではありませんが。何気ない日常のひとコマをとても印象的に写し出しています。

例えば主人公ウニが何度呼んでも感情のないかのごとく応えてくれない母。ウニの診察を付き添う父が本人よりも先に泣いてしまうシーン。ウニが病室で後輩と会っている際に、ささやき合う同室のおせっかいなオムニ(おばはんたち)の声など。(笑)

挙げたらキリがありませんが、怖い程のせつなさや、ちょっとした可笑しさが、散りばめられています。

そして何より特徴的なのが、男性が優遇される社会背景のもと、思春期真っ只中のウニが直面する理不尽でやるせないことの多い日常を丁寧に描いていることです。誰しもが抱える家族や恋人、友達との人間関係の葛藤が共感を呼びます。

そして、自分のことを理解してくれ、話を聞いてくれる大切なひとの存在の有り難さ・・・

"はちどり"のように主人公ウニは懸命に羽ばたき、幾重にも音を重ね飛び続ける。賞に相応しい素晴らしい作品でした。




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