Aya

はちどりのAyaのレビュー・感想・評価

はちどり(2018年製作の映画)
3.7
#twcn

※すみません。ちょっとづつ書き足していきます!忘れてしまうにはもったいない情報量!※

なっ、なんて豊かな作品なんだ!!

OPのタイトルから、うわーコレからとんでもないものが始まる!!!感が凄くて涙出た。

可能性の予感

この映画のテーマだと思います。

感想を文字にすることすら愚鈍に感じるくらい行き届いている・・・。
カラオケではなく、ソウルに行きたいぞー!!

この映画の非常に優れているところは全ての個の多面性だとおもいます。
ウヒは最初は学校にも家庭にもなじめず可哀想な子に見えるが、彼氏もいれば親友もいるし、ディスコに遊びに行ってタバコをふかしながらいきったり一面では語れない主人公として描かれる。

他の人物もそうだ。

仕事に誠実な父親は家で暴力を肯定し家長という立場をかさに家族を支配する。
そんな父親にいつもため息混じりで付き合う母親は部屋の隅々まで綺麗に掃除をし、ご飯を作ってくれるが、絶対に見方をしてくれない。

夫にモダン・ラブのソフィア・ブテラちゃんとジョン・ギャラガー・Jrのセカンドデートばりのことが起きるのですが、次の日にはケロっと仲良くテレビを見ている。

他者からみたら???の極地だが当人にとっては普通、という感覚の違いが当たり前に提示される。

最初にウヒの背中を撮るショットで薄いTシャツの下にキャマソールの肩紐が見える!!
さすが、この映画のストーリーは夏なのですが、衣装めちゃくちゃ気を使ってますね。

●9階の部屋
ファーストカット。扉を激しくノックするウヒ。
「買い物してきたからお母さん開けて!イタズラしないで!」と叫びながら何度もチャイムを鳴らし、扉を叩くが全く応答はない。
少しして階段を上り、先ほどの部屋の真上の10階の部屋の扉のチャイムを押すとすぐに母親が出てきてウヒも入室。

なぜ彼女は自分の家でない、母親がいないことがわかっている9階の扉をノックしたのか?
しかも1度や2度ではない。
扉に残された痛々しいほどの傷から鑑みるに10回20回でもないだろう。
彼女にとってこの部屋、この行為はなんなのか?

私の考えは2つ。
彼女には精神的な疾患があり無意識にこのような不可解な行為を繰り返していた。もしくは日々の不満の吐口、つまり八つ当たりできる場所。

●家族
父/古き悪き韓国父親象の体現:誠実によく働き、家庭では横暴な絶対権力者。とにかく金。のし上がることが全て。浮気をしつつ奥さんや子供を支配
母/夫と一緒に商売をしつつ家事も完璧。全体に感じの悪い気分屋。現況はできるが性差・経済問題を含め大学進学を断念した世代
兄/いわゆる韓国家庭の長男として子供序列的には格段に大切にされる。中3なのにソウル大学合格を背負わされ勉強に励み吐口に妹を殴る
姉/頻繁にお洒落をして家を抜け出しボーイフレンドと遊んでいる所謂「不良」(おそらく)家庭内の暴力により身体に傷がある。ウヒの事を馬鹿にしている。

この家庭はこの時代でいうと、中産階級より少し上の家庭だ。
マンションのベランダに置かれた観葉植物、木で誂えられた立派な家具。テレビは家に2個。ラジカセやカラオケセットひとりひとつの学習机、ブランド物の学校バッグ。
そして何より、リビング、キッチン、子供たちの部屋まで掃除が行き届いている。店番もしている母親1人のがんばりであろう。
公団住宅ではあるが、非常に広く所謂「いい家」だ。

自営の餅屋を地下街に持ち、材料に気をつかった良い商品を手作りで安価で提供している。
人手が足りない時には子供たちも手伝わされるが手慣れている。
この店自体は非常に良い店であり、この店で毎日コツコツ働き今の生活を手に入れたのであろう。そして子供たちには経済的な不自由を一切させていない。

●親友
主人公ウヒは通っている女子校(私立と思われる)ではクラスの中で少し居心地の悪さを感じている。友達はおらず陰口をたたかれる。成績もよくない。授業中に漫画ばかり書いて授業を聞いていないから。

●彼氏

●彼女

●先生
悪い先生/父親と同じ古き悪き教師象。国に尽くす事、良い学校へ行き良い大学に入ることがすべて。生徒同志で監視させるように仕向ける馬鹿。
(女子校にしては先進的な考え方のため私立の進学校と見受ける)

良い先生/ウヒが通う漢文教室の先生キム・セビョク演じるヨンジ先生は女性のくせに喫煙者で多くは語らないが重要なことを話す。学んでいる書物の中身をうまく説明してくれる。教える立場として向いていると思った。
顔を知っている人は何百人もいるのに、心の中をわかる人は何人いるか?という問いかけをし、生徒が落ち込んだ時には子供にはわからない焼酎と心情の歌を聞かせ、ウーロン茶を入れてくれる(この茶器五條市で買ったんじゃw)せっかく感じの読める日本人、授業シーンでは黒板に注目。

●学校
家から遠い女子校。
しかも家父長制の根強い韓国では「家庭に入る」ことを目標にするのではなく「大学に入る」ことを目標にされたわりと先進的な学校とも言える。しかし教師はクソだ。 

ウヒは学校に友達がいない。勉強はできない。授業を聞かずに落書きばかりしている。
クラスメイトの陰口を聞こえぬふりでやり過ごす。

この際「家政婦(ハウスメイド)」という職業が下層の仕事だと提示される。
イメージで言っているのか実体験なのかはわからないが、このクラスメイトは家に家政婦がいると推測すると、やはり私立の学校だろう。

●手術

●眼鏡

●餅屋の娘

全てが奥深く虚無

意味なんてない

ただ、なんとなく

그냥,,,

韓国の家であんな扉は久しぶりに見ました。

そして「あなたの時代は自由でいいわね」(まぁコレ無限ループなんだけど)という顔でチヂミ焼いてるオカンを見て





やべえ!!
1週間前に買ったチヂミの材料冷蔵庫に入れてそのまんま忘れてた!!

ということに気づき、、、冷蔵庫開けるのが怖いなう。


日本語字幕:根本 理恵

賞レース(2020/09/26現在)

≪国内≫
2020年 百想芸術大賞/映画部門 監督賞(キム・ボラ)&女性助演賞(キム・セビョク)
2020 第56回 大鐘賞映画祭/新人監督賞(キム・ボラ)
2019 第40回 青龍映画賞/脚本賞(キム・ボラ)
2020 第7回 野の花映画賞/女優主演賞(パク・チフ)、撮影賞(カン・グッキョン)
2020 第23回 プサン(釜山)国際映画祭/ネットパック賞、観客賞
2020 第44回 ソウル独立映画祭/新しい選択賞、執行委員会特別賞

≪国外≫
2019 第35回 LAアジアン パシフィック映画祭/国際長編映画競争部門
   審査委員大賞
2020 第69回 ベルリン国際映画祭ジェネレーション14プラス部門
   インターナショナル審査員賞 グランプリ受賞
2020 第18回 トライベッカ国際映画祭/女優主演賞(パク・チフ)
2020 第45回 シアトル国際映画祭(12月) 出品予定
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