マグルの血

バクラウ 地図から消された村のマグルの血のレビュー・感想・評価

4.3
不思議な映画。あらすじが書けない。

いくつかわかっていることは好き嫌いがはっきり別れる映画。いくつものジャンルが、決してジャンルレスではなくはっきりとクロスオーバーしたハイブリッドな映画。考察の余地がかなり深いにも関わらず結構浅い捉え方でも十分楽しめる映画。そんな風に私は感じました。

まず第一に物語の盛り上がりがなかなかやってこない上に意味不明なやり取りが続く、にも関わらず妙にひりついた緊張感が立ち込めています。何が飛び出すかわからないような緊張感が楽しめればいいけど、背景を読み解くのがめんどいとか、だれるのが苦手な人とかはまずふるいにかけられると思います。馴染みのない生活圏もまた敬遠する要因の一つ。

そして、様々な映画ジャンルがわりとくっきりと形を残したまま混ざりあっている印象。SFなのか、西部劇なのか、ヴィレッジ系のスリラー?ホラー?アクション?
「○○っぽい」って感覚はあるけれど、その混ざり具合が歪なので変な映画を観ている気分です。

また様々なレビューに目を通すと、ブラジルの歴史や風土に基づいた考察がゴロゴロ出てきて混乱。しかしながら物語の筋道は至ってシンプルなので、実は難しく考えなくてもスリラー作品として十分入り込める余地があることが不思議です。難しく考えても、何も考えなくても、どちらの要素も混在しているのは珍しいのではないでしょうか?


どういう人にハマるかは断言できませんが、ストーリーにギミックが効いた映画が好きな人は結構ハマれるのかなあと。私もその口です。

不穏な空気が漂うなか進む物語。核心に迫ったそのとき、まるで主人公が変わってしまったような感覚。
独特な表現方法は良く言えば新鮮だし、悪く言えば意味不明。胸糞悪いともなんだか違う。
改めて正義とは人の数だけ存在することを痛感し、一つの人間の集合はまるで生き物のように蠢く。

大きな波がある映画ではないと思います。が、自分はそれさえ含めこも映画好きですね。
マグルの血

マグルの血