フランスの新鋭、ラジ・リ監督の初長編作品。
出身地であり、現在の居住地でもあるモンフェルメイユを舞台に、監督自身の体験を基に描く。
パリの中心からわずか20kmしか離れていないこの地はヴィクトル・ユゴーの名作「レ・ミゼラブル」の舞台としても有名です。
しかし、同タイトルで同じ舞台でありながら、この作品には胸踊るミュージカル要素も生命の美しさも感動の涙もありません。
移民の多いこの町に、いまあるのは
貧困と不満、そして怒り。
「花の都」パリの光と影ですね。
実は、僕も幼少期にスラムのような所にいたことがあります。
やられたら、やり返せ
そもそも、やられる前にやってしまえ
ナメられたらおしまいだ
そんな風土に生えた、同じ草の1つとして存在していました。
目の前にあることが世界の全てで、何が正しいとか間違いだとかなんてわからなかった。
見本になるような人もいなければ、正してくれる人もいなかった。
大人になり、社会に出て、大変苦労はしましたが、いまはうまいこと社会に馴染み、穏やかに生きております(笑)
あの頃抱えていた爆発しそうな感情、導いてくれた数々の存在、そしてそれらへの感謝。
この作品はいろんなものを思い出させてくれました。
前提条件はあるものの、
「愛」で人は変われます。
ヒリヒリとした緊張感漂うラストシーン、、、「愛」はきっと彼に届いていると信じています。
観て良かった。