ゆ

レ・ミゼラブルのゆのレビュー・感想・評価

レ・ミゼラブル(2019年製作の映画)
4.2
フランスの新鋭、ラジ・リ監督の初長編作品。
出身地であり、現在の居住地でもあるモンフェルメイユを舞台に、監督自身の体験を基に描く。

パリの中心からわずか20kmしか離れていないこの地はヴィクトル・ユゴーの名作「レ・ミゼラブル」の舞台としても有名です。
しかし、同タイトルで同じ舞台でありながら、この作品には胸踊るミュージカル要素も生命の美しさも感動の涙もありません。

移民の多いこの町に、いまあるのは
貧困と不満、そして怒り。
「花の都」パリの光と影ですね。


実は、僕も幼少期にスラムのような所にいたことがあります。

やられたら、やり返せ
そもそも、やられる前にやってしまえ
ナメられたらおしまいだ

そんな風土に生えた、同じ草の1つとして存在していました。

目の前にあることが世界の全てで、何が正しいとか間違いだとかなんてわからなかった。
見本になるような人もいなければ、正してくれる人もいなかった。

大人になり、社会に出て、大変苦労はしましたが、いまはうまいこと社会に馴染み、穏やかに生きております(笑)


あの頃抱えていた爆発しそうな感情、導いてくれた数々の存在、そしてそれらへの感謝。
この作品はいろんなものを思い出させてくれました。


前提条件はあるものの、
「愛」で人は変われます。

ヒリヒリとした緊張感漂うラストシーン、、、「愛」はきっと彼に届いていると信じています。

観て良かった。
ゆ