エイデン

黒い乙女Aのエイデンのネタバレレビュー・内容・結末

黒い乙女A(2019年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

家庭内暴力を振るう父、そして新興宗教にはまる母
2人に育てられた芽衣は、感情も見せることもなく痛みにも強い子どもだった
ある日 実験と称して父に虐待を受けていた芽衣は、帰宅した母に止められるものの、なおも父はフライパンで芽衣を殴りつける
動かなくなった芽衣を見て動揺する母は神に祈るが、芽衣は突然息を吹き返すとハサミで父の目を突き刺して反撃に出る
更に芽衣は灰皿で母を殴りつけて殺害すると、驚く父にも執拗に灰皿を振り下ろして殺害してしまう
芽衣の首は折れ曲がってしまっていたが、彼女はモーリス・ラヴェルの『ボレロ』を口ずさみながら、自らの首を元に戻すのだった
それからしばらく経ち、小児麻痺で片脚が不自由なラナは、交通事故で両親を失い孤児となってしまう
除け者にされ孤独の身となる悲劇的な人生を歩み始めたラナは、両親の保険金を着服した施設の人間に、用済みとばかりに里子に出されてしまった
里親となったのは堀井という初老の男性だったが、彼は自宅にやって来たラナに対しいきなり性的暴行を行おうと試みる
驚いて抵抗したラナに腹を立てた堀井は、無理やり彼女を離れの蔵に閉じ込めてしまう
そこには以前の被害者と見られる白骨死体まであり、ラナは堀井が異常者であることを知るのだった
恐怖するラナはそこで“お多福様”という存在について描かれた古い巻物を発見する
その昔 ある村に醜い容姿をした双子の姉妹がおり、いつもお多福の面を被って暮らしていたが、村人達には忌み嫌われ虐げられてしまっていた
そんなある時、お多福の面に鬼神の力が宿り、姉妹は村人に復讐する力を得ると、その力を使って村人を皆殺しにしてしまう
鬼神はそのまま全ての人間を殺すことを目的としていたが、姉妹は村人を殺したことで満足してしまい、怒った鬼神は富士山を噴火させ巨大な岩を降らせて姉妹を押し潰してしまうという物語がそこには記されていた
今でも鬼神はお多福の面に宿り、全ての人間を殺す機会を待っているというその話を信じ込んだラナは、傍らに置かれていた2つのお多福の面の1つを手に取ると、復讐心を胸にそれを被り・・・



多くの謎を残した『黒い乙女Q』の解答編であるホラー映画

謎の鍵を握るラナの視点から明かされる前作の謎の答え合わせ
『カメラを止めるな!』を彷彿とさせるひっくり返し具合から始まり、前作で起こっていた出来事が序盤から次々と明らかになる
スッキリとする部分もあるものの、割と超展開なので受け入れ難い人は受け入れ難いかも
そういう意味では、本作の驚きの傾向で100点満点作品は『アイデンティティ』とかかもしれない

ホラー感ももはや吹き飛んでしまっているほどには、どんでん返しをやりたい意向が伝わってくるものの、なかなか納得にまでは落とし込みにくいので、少々安直なオチを選んだようには感じてしまうかな
ただそんなリアリティの無さとは裏腹に主演の浅川梨奈と北香那が演技で上手く締めてくれている

まあ世界への怨みみたいな突拍子もない望みを表現するには、良い意味でこのくらいの馬鹿馬鹿しさがあってもいいとは思うし、『キャビン』みたいなホラー映画の裏側を見るような展開に、その常識すら打ち破る要素としての終盤は型破りで面白い

まだまだ実験的な段階とは感じられるものの、捻りに捻ったからこその作品を追う楽しさがあったので、前後編合わせて観てみてほしい
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