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エターナルズのblacknessfallのレビュー・感想・評価

エターナルズ(2021年製作の映画)
2.9
どうせ作り手と演じ手がどんなに真摯な思いでその崇高なメッセージを信じていても、当のディズニーはそんなことまっく信じてないえげつない銭ゲバ企業だから白けてきてMARVELとは距離置こうと思ってる。
でも、マ・ドンソクが主要キャストにいるからこれは無視できなかった笑

エターナルズってザックリ言うと創造神アリシェムに命じられ、メンバー各々が有史以前から現代まで人類を見守り、人類を脅かす"デヴィアンツ"というクリーチャーを殺し、時に進化の手助けなんかをしてる人類の守護神みたいな存在。



【以下、ネタバレあり】











エターナルズの面々もそれが自分達の使命だと思っていたけど、実はそれがまったく違っていた。創造神アリシェムは宇宙の循環再生のために人類を進化させ最終的に滅亡させることを目的としていた。
ここ、何で進化させてから滅ぼすというめんどくさいプロセスが必要なのかにはしっかりした理由がある。オリジナリティを感じるおもしろい理由だった。

それを知ってしまったエターナルズに激震が走る。悠久の時の中で人の姿で人類と過ごし人間に対する愛着から創造神に逆らい人類を守るべきか?創造神の意思を汲み人類を滅亡に導くべきか?
それりゃ、動揺するよな、今まで言われたきた仕事が実は正反対の目的だったと知れば。
加えて、創造神への不信や自己存在の虚しさや矛盾に悩む。
そんなわけだから、エターナルズの面々は集まって今後の方針をどうするか討論を始める。で、これが中々終らない。まあ、アイデンティティークライシスに信じていた創造神への不信という重すぎる話だから当然なんだけど、これが本当に長く退屈なんだよ。ネタがネタなので人間とは?神とは?世界とは?みたいな哲学的な話になっていくし、そこにエターナルズ同士の愛憎劇も加わってくる。悠久の時間の中で人類を庇護しながらしっかり惚れた腫れをやってるから、討論と口論、イチャイチャと痴話喧嘩が延々と続く。なんかエターナルズって会社を舞台にした恋愛群像劇みたいだよ。社長が突然の経営方針大転換、それを機に噴出する男と女の激しい愛と憎しみ、揺れる心、切ない思い、みたいな笑

しかも、それがいつものMARVELみたいな感じじゃなくて、ギリシャ悲劇とかシェイクスピア的な高尚な舞台劇的なシリアスでリアリステックなトーンで展開される。これがかなり苦痛だった、、監督がクロエ・ジャオなんだよね、彼女の作家性なのかな?「MARVELだからって忖度せず、あたいはあたいの撮りたいように撮るからね。アカデミー監督だし」的な意志を感じた笑

MARVELらしいギャクや陽性な演出とかあるにはあるんだけど、監督がそこに思い入れが薄いせいか、とりあえず決まりなんで入れてみました的なやっつけ感がある。もっとちゃんとやればおもしろいのにと思うとこがあった。

と、このまま、つまらないとこを書こうと思えばいくらでもやれるんだけど、キリがないからよかったところを。

マ・ドンソクの見せ方は完璧だった。超絶者になっても武器は腕っぷしだけで、"デヴィアンツ"をバカスカ殴り倒していくのは『犯罪都市』みたいだったし、認知症になってしまった女性のエターナルズをかいがいしく介護する様は『グッバイ・シングル』を思わせる健気さで、もうね、俺たちが見たいマブリーでいっぱいだったよ😍

聴覚障がいの女優を主要メンバーにキャスティングした所謂ダイバーシティ・キャスティングもよかった。彼女が見事にヒーローを演じたことで、同じような障害がある人達にも、障がい者役以外でも俳優として映画に出れるという希望を提示しエンパワーメントしたと思う。MARVEL魂のフェーズアップに加点!

最後に1番よかったというか驚いたとこを。
おそらくMARVEL映画史上初めて、野外セックスシーンがあった。
これがけっこう濃厚で、明らかにクライマックスの場面を撮ってる。このシーン、けっこう最初に出てくる。思えばこれは広大無辺なスケールと時間軸で繰り広げられる愛憎劇なんだよってシグナルだったのかも知れない笑

見処はたくさんあるし、MARVELにしてはかなり定型から外れた攻めたところのある意欲作だと思う。
しかしMARVELでこんなに楽しめなかったガーエーは初めてだよ。高尚さや勿体ぶった神話的格調はMARVELにはいらねえー😕
マ・ドンソクさえ出てなかったら、こんな退屈な思いをせずに済んだのに、、

2ヵ所ほどフォロワーさんのキラーフレーズをパクった。そんな遊びでも入れないと延々文句ばかり言ってしまいそうで笑
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