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プライベート・ライアンのpanpieのレビュー・感想・評価

プライベート・ライアン(1998年製作の映画)
4.8
言わずと知れた戦争映画の金字塔。
10年以上も前に観ていたのに思い出せない!
前回観た「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」に出ていたバリー・ペッパーの出世作を知りたくて今作を観直してみた。


冒頭から凄いシーンの連続で私はその瞬間に遠い昔にこの映画を観てもう絶対に観ない!と思った事を思い出してしまった。笑
若かった頃に観た為に感想がきっと貧弱で観終わってこんな酷い戦争映画は観ない!としか思えなかった昔の自分を振り返って今その記憶が薄れていてくれたお陰でもう一度観る事が出来たなんて!


冒頭の恐ろしくリアルな戦闘シーンはかの有名なノルマンディ上陸作戦だった!
映画でオマハビーチとなっていて恥ずかしながら初めて知りました。
ノルマンディが上陸した浜辺だと思い込んでおりました。(^^;)
学生時代に必死に勉強してこなかったツケがそれも映画から学ぶ事も多くて本当に恥ずかしい。
「ヒトラーの忘れ物」でドイツが恐ろしい数の地雷を海岸に埋めた事を知ったけどドイツが海岸線からの敵の上陸を極端に恐れていた事が伺える。
海岸線を死守しろ!とドイツ軍の声が聞こえてきそう。
それ程に兵士がまだ浜辺に上陸する前から執拗に銃撃してくる。
ヘルメットの上から銃撃されて上陸前に死ぬ者、逃げ込んだ海の中で銃撃されて死ぬ者、上陸してすぐに爆撃され飛び散る腕や足、撃たれて失った腕を探してウロウロする者、腹を撃たれ内臓が飛び出しママ!と泣き叫ぶ者、浜辺は阿鼻叫喚の地獄絵図と化している。
そこには悪いドイツを倒す英雄連合軍と賞賛して映像を撮っているいつもの戦争映画と同じ視点で描かれているとは微塵も感じられずさながらドキュメンタリーの様である。
淡々と進む映像に以前の戦争映画には無い何か凄い物を感じ鳥肌がたった。
久しぶりに観たスピルバーグ作品に今更ながら酔いしれた。

高台に陣取っているドイツ兵の銃撃か凄くてなかなか前に進めない!
ここでジャクソン登場!
やっと出てきた!
狙撃する前の祈りが彼が敬虔なカトリック信者だと分かる。
ペンダントの十字架へのキス。
祈りの力による入魂の一撃。
若かりしバリー・ペッパーの神経質そうな顔がスナイパー役にぴったりだ。

以前に観て物凄く違和感があったのが何故一人の若い兵士を帰国させる為に自らの命も危険に晒させる程の任務ってありなの?という疑問。
なんとナイランド兄弟の実話に基づいているというのが分かった。
国防相が制定したソウルサバイバールールという兄弟全員戦死させないルールとでも言おうか、本当にあったんだ!
なんか戦時中からこんな法律があったなんて!
以前に反感を持ったが流石アメリカを感じる法律があった事を知って納得した。
そんな事実に基づいてトム・ハンクス演じるジョン・ミラー中隊長に新たな命令が下された。
3人の兄弟が戦死し残る最後の一人のなったライアン二等兵を帰国させよという命令だ。
隊員達の不満は募る事必至だ。
だって自分達が死ぬかもしれないのにたった一人の若者を敵地から探して帰国させるだなんて意表をつく命令に従えというのは無理だ!
でも上層部からの命令は絶対だ。
逆らえない。
ノルマンディ上陸作戦でも功を奏したミラー部隊に白羽の矢が立ってしまった。

ライアン二等兵を探していく先々で仲間が死んでいく。

驚いた事にヴィン・ディーゼルが出ている!
知らなかった!
20年程前の映画だからこの時は相当若いはずだけどあまり変わって見えない!(歳をとって見えないって事だから凄いですね!)
他にも歳をとって見えないのはホーバス軍曹演じるトム・サイズモアやウェイド演じるジョバンニ・リビシなど名脇役達。
ホーバス軍曹は赴いた戦地の土を缶に集めている。
ミラー中隊長の長年の友で良き相談相手だ。
エドワード・バーンズに至ってはどなたかのレビューでもあったが私もベン・アフレックかと思ってしまった!笑
「CSI:ラスベガス」で主任を演じていたテッド・ダンソンがライアン違いの隊長役で出ていたのを見つけてなんだか嬉しかった。
「セブン」で変な道具を付けさせられて娼婦を殺害させられた男が出てきた!
役者名は分からずだが知った顔を見つけるのって嬉しいですね!(#^.^#)

一緒に苦境を乗り越えてきた仲間の死に苛立ちが爆発して銃を向ける事に!
一触即発の事態に仲間割れ寸前まで追い込まれるがそこでミラー中隊長は賭けの対象になっている自らの出自を打ち明ける。
一人殺す毎に故郷が遠くなっていく気がする。
離れかけていた隊の気持ちが一つとなったシーン。
ウェイドが死んだ後塹壕に隠れて泣くトム・ハンクスにもらい泣きした。

とうとうライアン二等兵を見つけて任務が果たせたはずだったが彼は思いの外帰国を喜ばず今自分が仲間を置いて任務を放棄する事は出来ないと悩む。
マット・デイモンが若い!

ラストの橋を死守するシーンは圧巻だった!
アパムに始終イライラさせられたが彼こそが戦闘経験もなく観ている私達に一番近い存在なのだ。
いきなり精鋭達の様に立ち回る事は出来ない。
恐怖に足が竦み仲間を助けに行けない!
うずくまって泣くアパムに腹が立ったがラストに彼の取った行動にも頷けた。
人を憎んで殺したいと思う気持ちを超えてそれを実際に行動に移す戦争の恐ろしさを今迄の戦争映画と違う形でスピルバーグに教わった気がする。
「ムダにするな!
しっかり生きろ」
ライアン二等兵へ送られた短いが強烈なメッセージが観ている私にも心の奥深くに染み渡った。


初めて観た様に心に刺さった。
バリー・ペッパー見たさに軽い気持ちで観はじめた凄い映画をこんな形でレビューする事になり今更だが正直自分の感想に驚いている。
レビューを推敲中に押していないのに何故か更新されてしまい(またか!)途中でいいね!をいただき感謝しながら慌てて締めた為また編集するかもしれない。
一度観ても何度も名作は観返してみるべき!と教えられた名作に再び巡り会えた事に感謝しきりである。
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