nagaoKAshunPEi

カセットテープ・ダイアリーズのnagaoKAshunPEiのレビュー・感想・評価

3.5
音楽を聴いていると、この歌詞って自分のことじゃない?と思う瞬間がごく稀に訪れるんだけど、この映画はまさにその瞬間を描いた作品で、あるひとりのミュージシャンと彼が生み出す音楽との出会いが少年の人生を一変させていく瑞々しさに溢れた作品だった。

かなり似通ったプロットの『シングストリート』同様、80年代後半の大不況下のイギリスを舞台に、パキスタン系の少年が人種差別や経済不況、さらに親との軋轢に苦しみながらも、ブルース・スプリングスティーンの音楽と共に、友情あり、恋愛ありで成長し世界に飛び出していく、というとにかく大好物な内容でした。
放送室を忍び込んで大音量で好きなアーティストの曲をかけるとか、市場でフラッシュモブ的(ミュージカルになりすぎないところがまた良い)に好きな子にアピールするシーンとかスプリングスティーンの歌詞との親和性が高くなる瞬間がいくつもあったのがハイライト。

惜しむらくは、新たな旅立ちを描いた映画の内容的にも本来の公開日であった4月に観られなかったのが残念。配給もおそらくそれを狙っての公開日だっただろうにコロナめ…。
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