真田ピロシキ

女囚701号 さそりの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

女囚701号 さそり(1972年製作の映画)
3.4
シロさんのお母さん梶芽衣子の代表作。シオニズムタランティーノも大好きでキルビルでテーマ曲の恨み節を流してました。要はそういう映画。のっけから裸の女囚が歩くところを看守が下卑た顔で眺めている。女囚を吊り上げたり熱々の味噌汁がぶち撒けられたり悪趣味なことこの上ない。そういうサドシーンを見て満足する男性のために撮られた映画で、まともな人は何だこのクソ映画と切り捨てて当然。話はかったるくて幾度か寝落ち寸前。

そんなエクスプロイテーション映画でフェミニズムやらエンパワーメントなんて言葉は無縁であるが、結果としてそれを少し内包してるとこがあって反乱を起こした女囚が人質に取った看守を凌辱するのは、これもそういうフェチ男性に対するサービスでしかないが逆襲としては成り立っている。囚人を偽装して送り込まれた女看守が逆に籠絡されてしまうのも男性支配への復讐と言える?もっとも私はこうした今でいうところの百合消費にウンザリしてて、ストリートファイターⅥという低脳低俗下品幼稚軽佻軽薄ゲームの煽るだけ煽って死んでも公式には認めないレズビアンカップリングに遂に嫌気が差し、抵抗でやってた二次創作小説もやる気が失せてきたくらいなのでこのシーンはうえーっとなりました。クィアベイティングは嫌ズラ…やはりあまり褒められた映画ではないが、主人公を毅然とした行儀の悪い復讐鬼のアウトローにしてるのはキモオタ深夜アニメのような公安ヒーローよりずっと好感が持てた。冒頭からして看守の表彰式で君が代が流れてるところに警報が響いて急行する他看守によって賞状が踏み躙られるという反権力な意図が強く、今の権力に迎合することを望む弱虫ヘタレどものとは違うサブカルの矜持が感じられる。

また演出が大変奇抜でアバンギャルド。回想では舞台劇のように場面転換し、ホラー映画のような顔になった裸の女囚がガラス片を手に追いかけ回す。確かにシオニスト野郎のような映画オタクは気に入る。自分の糧にしたくなる不思議な魅力が詰まった毒にも薬にもなる映画。こんな映画ばかり見てたらロクな人間にならないので用法にはご注意を。