えいがうるふ

架空OL日記のえいがうるふのレビュー・感想・評価

架空OL日記(2020年製作の映画)
3.7
原作未読、ドラマも観てないのでなんのこっちゃと思っていたが、ある設定を切り取った長編コントとして実に秀逸だった。このタイトルでバカリズム原作・脚本・主演となると単なる出オチかと思いきや、淡々としつつジワジワ畳み掛けてくる細かいあるある描写に、くだらねえと思いつつ結構楽しく観た。バカリズムの芸風とその才能なら、この視野の狭さのまま長尺にしてもそのままで持たせられるということだろうか。

ともあれ本人ほぼ顔そのまんまなのに気がつくと妙に溶け込んでて違和感無さすぎなのがそれだけで可笑しい。あと、他のOL達もいかにもこうした女子集団に一人はいそうなタイプをうまく揃えているあたり、ほんと上手。
そもそも男性でオッサンで、まして会社員でもないピン芸人であるバカリズムがなぜこれほどに日本企業舞台裏でのOLの生態に詳しいのか、その観察眼とフォーカスの絶妙さに舌を巻いた。あなたいつOLやってたの?

ただ、個人的にはこうした女コミュニティならではの同調圧力強めの馴れ合い集団が非常に苦手なので「うわあ・・」と思うシーンもちらほら。
特に、自分もOL経験のある女とはいえ、そこそこ年食って人生色々を見てきた年代ともなると、矛先にされる側の悲哀も割とリアルに想像がつくだけにちょっとモヤっとしてしまった。

話の締めくくりが若干安易ではあるが作品全体のユルい雰囲気からして妥当な落とし所かと。良くも悪くも邦画らしいというか、間違いなく日本社会からしか生まれない視点で描かれた作品として稀有な価値があると思った。