まめまめちゃん

T-34 レジェンド・オブ・ウォーのまめまめちゃんのレビュー・感想・評価

3.8
第二次世界大戦下にドイツの捕虜となったソ連の元戦車の指揮官イヴシュキンは、たまたま捕らえられていたT-34戦車を修繕し弾を持たずにドイツ軍の戦車戦演習で操縦するよう指示される。イヴシュキンはその戦車でチェコまで逃走する計画を立てるのだが。

戦車には全く詳しくなくて、見た後にちょっとだけ調べたんですが、1944年当時ソ連が作った戦車T-34はドイツ軍にとって脅威であった訳なんですね。わたしは何とな〜くドイツのティーガーとパンターが最強でしょと単純に思っていました。それが現在のベンツやポルシェ等のボディの流麗さに加えて頑丈で故障せず小回りが効いてるつくりの流れだと思っていたのですが、それは各国がT-34に対抗してのことという訳なんですね。もちろんそう単純な話ではないのでしょうけども。

数々の対ナチスドイツ映画で見てきたドイツは心理的要素を巧みに操り、逃げる者に二重にも三重にも落とし穴を作り退路をことごとく断つことが非常に旨いイメージなのですが、本作のドイツ軍のイェーガー少佐の思惑は結構杜撰でドイツらしくないのです。それほどこの脱出作戦の指揮をとったイヴシュキンとその乗車員たちのスキルが高く意志が強固でフィジカルも備わっていた上に、T-34のこの機種が素晴らしく運も味方につけたということなのでしょう。

さらに本作は戦車のことなど何にも知らずボーッと見ていてもアガる要素満載です。明日生きていることも捨てたような捕虜たちが、戦車に乗れるとわかった瞬間から輝き始めます。中盤からクライマックスへの戦車対戦車の直接対決は圧巻です。描き方もとっても親切でよぉくわかるようにできており、ドイツ軍が出てくる割に残酷な表現はほぼ皆無。戦争映画とかヤダッと思ってる人にも十分楽しめる作りで、フィルマの方々のスコアにも納得の一作でした。映画館で見たかったですが、タブレットでも十分楽しめました。