お話の構成、展開がはっきりして内容に入りやすい。冒頭で激しい戦車戦があり、それが因果となって新たな戦いが必須になっていく流れが上手い。素早く進む上に、人物配置や設定が適切。実は戦車戦の場面は必ずしも多くはないのだが、気持ちが集中して見れるよう作ってある。戦車実機を役者に操縦させたゆえのリアルな迫力がまずあり、VSXの効果が効いている。戦車の動きや砲弾が飛ぶさまをスーパースローに使うなど、映画の演出としては古さも感じる。が、この作品の場合は戦闘シーンに抜群のメリハリが生まれていて、テンションが上がった。見せ方として正しい選択に思う。冷酷な敵役だったイェーガー大佐が最後に取る行動も印象的。戦争映画であるが重さもなく、悲惨さを描く内容でもなく、痛快娯楽活劇に仕上げた姿勢を称賛したい。欲をいえば主人公周りの人物像に掘り下げがほしいところではあるが、それは完全版の方にあるのかもしれない。
