Sachika

犬王のSachikaのレビュー・感想・評価

犬王(2021年製作の映画)
4.3
この世は諸行無常だ。
弱き者は報われず、強き者に奪われる。
では語り継がれる為には、何を犠牲にすれば良い?
歌おう、舞おう、紡ごう、声なき者の為に。
声の続く限り、音で喧嘩をしよう、名もなき者達の一生を轟かす為に。
友魚と犬王の声が響き渡り、心が震える瞬間を、ぜひ劇場で確かめてほしい。

先行上映のチケットが取れただけで奇跡!なんて思っていたけど、こんなにブッ刺さる作品に出会えた奇跡が遥かに上回った。
例えわたし以外の他の人に刺さらなくてもいい。
でも内容がわからなくても、身体が揺れて、心が高鳴って、拳を突き上げたいなって人が、たくさん居てくれたらいいなと思う。
大袈裟ではなく、ずっと鳥肌が止まらなくて、私が観た映画史上最速。アヴちゃんの歌声を聴いて、涙が出た。
単純に女王蜂が大好きだからという事もあるけど、アヴちゃんの歌声は人を引き込む力があるなあって圧倒された。

アヴちゃんの言葉じゃないけど、映画が始まって、曲が流れて、歌声が聴こえて、エンドロールにアヴちゃんの名前を見た時に、女王蜂ファンでいて良かったなって思ったし、映画が好きで、アニメが好きで、音楽が好きで良かったなって思った。
最高のライブをありがとう。

森山未來氏の歌声も力強かった。
曰く、録音ブース(湯浅監督と音楽の大友さんの間)にアヴちゃんがいて、「これは喧嘩だ!目なんてつぶるな!」と喝を入れられていたらしい。
(目を瞑った事なんてわからないはずなのに、なんでわかったの!?と驚いていた)
室町時代にマイクなんて無いから、みんなに届くような大きさで歌ったとアヴちゃんが言っていて、力強さはそこから感じるんだなあと。
また曲に関してはアヴちゃんが作詞をしていて、最初は「室町時代について、明るいわけでは無いから…」と言っていたものの、「普段も(作詞について)早い方だけど、書き出したら手が止まらなかった」と。
それは、監督や脚本家が残したメモを繋いで歌詞を考えると言う作業が、『犬王』のストーリーである、霊たちの未練を犬王たちが紡ぐという作業と同じだなと思ったかららしい。

私が好きな映画を選ぶ基準が「例え自分が報われなくても、誰かや何かの為に命をかけられる人」が出てくる映画で、犬王は未練がある霊のために命の限り芸能で届ける所はもちろん、それを行う2人の力に圧倒されたなあ。

先行上映では、ライブハウス以外で観るアヴちゃんは初めましてだったけど、ゆっくりと高いヒールで階段を登る所、スタッフさんに両手でマイクを返す所、お面を置いた後最後に扇子を振ってくれる所、と思えばトークで笑わせてくれる所、真面目に気持ちを伝えてくれる所、そう言うのが好きだなって改めて思って。

アヴちゃんの一言「ライブと違って何回も観れるし、遠征費かからないから、何度でもみにきてねー!」が、去年北海道まで女王蜂のライブを観に行った自分には、確かに!だった笑
これは本当に応援上映してほしい。
みんなでジュリ扇振りながら、足を踏み鳴らして、歌いたい!

また合わせたわけではなかったけど、合ってしまった森山未來とアヴちゃんのオレンジの服かわいい。
アヴちゃんのお面の紐を結ぶ為に、森山未來が自分のセンスを口に咥えて結んであげるのがエモすぎた。
思えばモテキの森山未來✖女王蜂のデスコはあの頃最高だったよなあ。

#女王蜂 #犬王
#犬王見届けようぜ
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