てる

犬王のてるのレビュー・感想・評価

犬王(2021年製作の映画)
4.2

全然期待してなかったのにめっちゃ面白いじゃん。
何を食わず嫌いしてかっていうと、歌手であるアヴちゃんが主演の声を勤めていること。また、際物の作品やってるよくらいにしか思ってなかった。
でも、監督が湯浅政明なのは気になっていた。それに加え、友達の後押しがあって観賞に至った。

いやぁ、アヴちゃんがめっちゃ良かった。声の芝居がちゃんと上手。子どものときと、大人になったときの演技の使い分けをしっかり出来ている。もちろん本職は歌手であるため、歌唱力は抜群だし、さらに、男性ボーカルでは群を抜いた高音ボイス。高音ボイスを聞いて、そこでようやくアヴちゃんだったことを思い出した。
声優以外にも舞台とかミュージカルとかやってほしい。ビジュアルもいいので、もし舞台に立つなら観に行きたい。すっかりファンになってしまった。
森山未來も良かった。エンディングロールを観るまで気づかなかった。彼はアヴちゃんとは逆で、俳優なのに、歌が上手すぎる。友魚ももしや歌手が演じているのでは? と思った程だ。芝居もダンスも歌まで出来てしまうのか。器用すぎる。

内容も良かった。
『どろろ』と『ピンポン』と『鉄コン筋クリート』を足して割ったような作品だった。ロック系ファンタジー青春時代劇と呼ぼう。青春でした。友情でした。最後は悲しい結末だけども、でも、救いを残したエンディングで良かった。

映像はさすがは湯浅監督。時代劇なのに現代のロックバンドのようなライブを描いちゃうってのが斬新すぎた。しかもそのライブの仕掛けがキレイすぎた。時代劇のはずなのに、『竜とそばかすの姫』にも負けてない映像。それは誰も想像してなかったよ。

ザ・エンターテインメントでした。しかも日本人にしか描けないエンターテインメントだ。
もう少し高い評価を得てもいいのではないか。色眼鏡を掛けて食わず嫌いをしている人が多いのではないか。なんだか勿体ない作品だと思う。
てる

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