oln

ドリームプランのolnのレビュー・感想・評価

ドリームプラン(2021年製作の映画)
2.5
どんなテニスプレイヤーになりたいかって?
私は私にしかならない

誰かの背中を追う必要なんてない
小さな窓をすり抜けなくても
正面玄関から堂々と一歩を踏み出せばいい

夢は諦めるものじゃなく叶えるもの

自分が何者なのか問う
自分が何処から来たのかを問う

世界を揺るがす準備は、とっくにできている





感想です。

音楽使いが最高でした。
ぐらいしか言うことないかなー。

実在のテニスプレイヤー・ビーナス&セリーナが世に出るまでの父親の努力と葛藤を描く・・・にしては、父親の表面的な考え方しか描かれないし、リチャードが娘たちをテニス選手にしたい動機が、本気であれなのか分からないし、家族意外から見たら、ただのワガママ偏屈ジジイにしか見えないし、この映画って誰に感情移入すればいいの?と思ったまま鑑賞を終えました。

リチャードの選択の悉くが、側から見たら「はぁ?」と思いかねない選択なのですから、少なくとも観客には「あぁ、この人のこのバックボーンだと、この選択になっちゃうよね」と思わせてくれないと成立しないと思うんです。がしかし、『ゲットーから抜け出したい』だの『娘達のためだ』だの、別の映画でも聞いたことがあるような上っ面の言葉を並べるばかりで、リチャードの過去にはこんなことがあって、こういう価値観が形成されて〜というような説明がほとんど無く、とってもペラッペラな内容に思えました。
劇中で明確に描かれたのは『ゲットーから抜け出したい』くらいのもので、それを強調するならテニスが題材の映画じゃなくていいし、何故あんなリスキーな選択をするの?リックの気持ちも考えろよなと思います。

バックボーンの描き方が微妙なことに重ねて、結末もスポ根ものの序章を描くなら、そうでしょうよという無難な落とし所。
もうちょっと上手に端折って、脳筋スポ根モノとして胸熱展開で終わらせるなり、リチャードの過去や思考の過程をしっかり見せて、物語に厚みを持たせた骨太作品に仕上げるなり、どうとでもできただろうに、どっち付かずな物足りなさが残る作品でした。
こんな描き方したら、リチャードがネジ飛んでるイカレジジイにしか見えんて。娘も引いとるて。

本作の予告編で『ウィル・スミスはアカデミー賞確実』と謳っていますが、個人的には暫定的に"マクベス"のデンゼル・ワシントン推しです。主演男優賞ノミネートの作品を一通り観てみようかなーと思ったのですが、”チック、チック・・・ブーン”が鬼門です。
oln

oln