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ソウルフル・ワールドの8637のレビュー・感想・評価

ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)
4.3
酷く胸に刺さった。
「リメンバー・ミー」のようなこの世ではない世界線と「インサイド・ヘッド」のような感情の起源の物語がハイブリッドされて、さらに音楽を、人生を愛する者に捧げられた傑作映画だった。
幾何学模様で統一された"三途の川"は是非とも劇場で観たかった。

音楽の中でもとりわけ即興的で唯一無二の自分を表現できるものがジャズ、か。確かに分かる。
"ジャズり"ながら感じる快感に浮かぶ笑顔、だけど、どんなに同士がいても結局は自分の内面でしかのめり込めない孤独。
これを"悲"と判断せずにその内側に世界を作った。ディズニーはここが流石だった。

人生を深く考えさせられる映画なのに、ディズニーだからか軽快に進んでいく。
だけど色々な人間の優しさに触れていくうちに、やはり自分自身でも悩む事になる。この生まれ方は果たして正しいのか。
生きている事自体が本当は奇跡。
勝手に人生に優劣つけるものでは無いなと感じた。不要なオーパーツでさえも今の自分を形成しているのだから。

例えば最近、自分が映画好きである事が何かの許容範囲を超えてしまい、最近では家族皆んながよく映画を観るようになった。これは僕のせいでは無いだろうか。そう思って心配になるが、観ている彼らも、それが楽しくて観ているんだろう、きっと。

これは自身の思う事なのだが、僕の成長につれてピクサーの物語って大人向けに進化されていってる気がするんだよな。だけど「そんな訳ない」っていう支離滅裂なストーリーも解せぬディテールも傑作に変えてしまう。そこが良いんだけど。

ここまで非現実的な映像体験をした上で、再び「人生の喜びとは何か」を考える。
冷徹な人間も、楽天家もただ一つ平等に持つ命。
人生たまには少しイカれる事が必要なのかもしれない。
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