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ベル・エポックでもう一度のnt708のネタバレレビュー・内容・結末

ベル・エポックでもう一度(2019年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

本作を観て確信した。フランス映画はムードを作るのがとにかく上手いのである。フランス映画が何故ムードを作るのが上手いのかは吟味の余地があるが、とにかくそうに違いないのだ。

この映画は映画のセットを使ってお客の好きな時代で好きなことをすることができるサービスを通して、登場人物たちが過去ではなく今を生きる決心をする物語である。物語を突き動かすパワーこそ夫婦間のいざこざに終始していて貧弱ではあるものの、シーンの間を埋めるムーディなカットにどことなく説得力があり、全体として良い感じの映画に仕上がっている感覚を得る。特に主人公が「時の旅人」になった初日、音楽をかけながら煙草を嗜み、独り踊る姿は何とも言えない雰囲気に包まれていた。

こういったよくわからないが、なんか良い感じの映画がフランスには何と多いことか。『勝手にしやがれ』『シェルブールの傘』などなど、話は小難しいが、雰囲気は最高である。それゆえに批判すべき点が多い本作のようなフランス映画も批判するに批判しきれず、毎回のレビューに苦しんでいる自分がいる。機会があれば是非この現象に名前をつけたいぐらいだ。
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