インドのムンバイの貧民街に住む青年ムラド。大学卒業を1年後に控えている中、キャンパスでのラップライブを見て、ヒップホップに目覚める。その才能を開花させて、フリースタイルのラップ大会で優勝を目指すサクセスドラマ。
インド映画らしさがドンと出た作品。2時間半を越えても全く飽きさせない濃さがあり、ヒップホップにそこまで詳しくない僕でも存分に楽しめました。
貧困層と富裕層との差。家庭の問題や悪事が蔓延る街の現状など、日々自分が感じる事を歌詞に書き起こし、それをラップで激しく炸裂させる。それがムラドのスタイル。
ビートの効いた音楽にのせて、大きな熱量と共に言葉を並べて聞き手を圧倒するラップシーンは見応え抜群。その歌詞に込めたメッセージも注目です。
インドの社会問題を捉えた内容で、エンタメ中心ながらもその側面もしっかりと併せ持った作品。ムラドの周囲の人々のキャラが皆印象的だったのも大きな好ポイント。
そしてラストも一番盛り上りのピークで幕を下ろし、エンドクレジットでもその余韻を味わえる構成。ここも捻りがあって面白味を感じたところでした。
閉塞感を感じる人生からの解放を、自身の才能の開花と努力と共に感じるサクセスストーリーとしての完成度はかなりの高さ。是非多くの方にご覧になってもらいたい秀作です。
