このレビューはネタバレを含みます
役作りのためにシェリー・デュヴァルを神経衰弱に陥らせたり、マルコム・マクダウェルにまぶたを固定させる機器を実際に装着させたり...とイカれたエピソードに事欠かないキューブリック監督だが、彼の助手で今作の主人公でもあるエミリオの話を聞いていると、驚くほど情に厚い人物でもあったことがわかる。
(エミリオのお別れパーティのシーン)
「『スタンリー、もはやこれまでだ。最後だよ、会うのは...』彼が『やめろ!』と言って2人で抱き合った。彼は泣いていた。私も泣いた。彼はビリヤード室に入り、私は屋敷を出た。」
(イタリアへ帰って農業を始めたエミリオにキューブリックが電話で)「君のトラクターに専用電話をつけようか」
また、行き場のない野良猫野良犬を獣医に連れて行ったり、処分寸前のロバを放っておけなかったり、といったエピソードにもほっこりしてしまった。
キューブリックの遺作『アイズ・ワイド・シャット』には、キオスクの店員としてエミリオが出演している。妻のジャネットも出演。