こども

劇場のこどものネタバレレビュー・内容・結末

劇場(2020年製作の映画)
1.5

このレビューはネタバレを含みます

徹底的にこき下ろします。

行定監督が「原作至上主義」だとかなんとか言ってたらしいですが、確かにラストまではセリフやら諸々含め原作に忠実でした。

しかし、なんだこのラストは?
これを原作レイプと言わずしてなんと言えばいいのか。
どんな風に原作を解釈すれば、こんな史上最低の改悪が出来るんですか。
頭の中に広がる幸せな夢物語、実際はカネも無く沙希は心も病んでボロボロ、結局支配欲というエゴイズムを捨て去ることができない男がアパートで夢現を抜かしているに過ぎないという空虚さに、馬鹿みたいに優しく、その優しさ故に非服従から逸脱できずに己の首を絞める沙希の微笑みが拍車をかけて物語は終わるはずだったんだよ。
これを「作品」にして、公の物にしてはいけないんだよ。
あくまで2人を閉塞した世界に閉ざしておかなければいけないんだよ絶対に。
なんてことをしてくれんだよバカが。
エンドロール後、客席の中心に狭いアパートの空間がある描写、アパートを第三者的目線から眺めることによって「狭さ」を強調する画になっていたことは認める。だがしかし、そもそも沙希が笑ったあとの描写は全て蛇足。というか、「原作至上主義」を謳うなら蛇足であるべきだろう。
細かいことをいうとキリがないが、最たるもので言えば永田がフグやらウニやら食べようと話しているところの沙希、あの場面において沙希の一喜一憂いりますか?ほんとにそんな気持ちなの?ていうかそこで笑っちゃったら、最後の笑顔が生きないんだけど。なんであんな演出にしたのか理解し難い。腹ただしい。

ここからは更に個人的な意見になる。
山崎賢人はどうしても山崎賢人が滲みでる。ふとした瞬間に異性に好かれるような甘い優しさが見え隠れしてしまう。見た目のイメージとかそういう表象的な物を超えて、もっと深いところであまりに永田と違いすぎるんじゃないか。そう思わせる。
沙希のキャスティングについては、正直もっといなかったのかと思う。松岡茉優ではあまりに我が強く出過ぎた感が否めない。沙希はイタい女の子にしちゃいけないんだけど、イタいようにもとれてしまう天真爛漫さを演じようとするのは非常に困難だろう。ある程度ナチュラルボーンで沙希っぽい性質を持ってる女優さん、いなかったのかなぁ。
野原については致命的なほどイメージと異なった。

色々書いたが、一言で纏めると「もっと大切に作って欲しかった」です。
原作が大好きなだけに、ほんとにガッカリです。
キングヌーとか出すのほんと要らねぇからほんとふざけんなよマジで。
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