みーゆー

劇場のみーゆーのレビュー・感想・評価

劇場(2020年製作の映画)
3.6
怠惰


変わることができない男と変わってしまった女
どちらが正しくてどちらが悪かったのかは多分人によって違うんだろうな。私は断然悪いのは前者。

自信がまったくないところだって、人見知りが激しくてなかなか自分が許せる人物にしか優しさを見せれないところだって、満足ができるまで自分が最高だと思えるものを作り上げるまで辞めないところだって

たぶん、誰よりも側で見てきたんだよ。
「わたし、人形じゃないよ?」めちゃくちゃこの言葉がずっしりきてしまった。人間である彼女が、いろんなことを積み重ねてその言葉を選んだのならあまりにもゾッとしてしまう。ひとりの人間なんだよ。

演劇というものに魅了されてとらわれてきたはずなのに、演劇というものを使わなければ大切な言葉のひとつさえも伝えられないなんて。そんなバカな。

ありがとうとごめんね、一言でもあれば良かったんじゃないか、とさえ思えてくる。気付いた時にはもうそこでは止められなかったのかもしれないけど。


「ここが一番安全な場所だよ」安全であるがゆえのあの場所が一番安全ではなかったんだろうな。なんて皮肉なんだ。「いつまで保つだろうか」そんなの保たせるようなこと一度でもしたんだろうか。