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シャン・チー/テン・リングスの伝説のkaitoのレビュー・感想・評価

4.0
『シャン・チー テン・リングスの伝説』

MCU長編作品25作目となる本作は、日系アメリカ人であるデスティン・ダニエル・クレットンが監督を務めた。彼の作品は『ショートターム』と『黒い司法』という作品を鑑賞したが、どちらも心が打たれるような映画で大好きである。

で今作に関しては、数あるMCU作品のなかでも上位に組み込むほど好きな映画であった。

まず注目すべきところはアクションであると思う。物理技で戦うことが多く、一つ一つのアクションに重みがあって良かった。そのアクションの見せ方もかなり好きだった。冒頭の方にバスの中で敵と戦うシーンがあるんだけど、そこで昔のファミコンゲームのような横画面スクロールの撮影がされていた。パクチャヌクの『オールドボーイ』を彷彿させるようなシーンで、映画館で興奮してた。映画終盤では、龍が出てくるなどファンタジー要素強めでいい意味でMCUらしくない。見るものの何もかもが新鮮で、かなり楽しかった。カンフー演出は非常にカッコいい。マンダリンとその妻の出会いのシーンは視覚的にも美しくて印象的だった。

そしてシャン・チー役を務めたシム・リウ、彼ほどの適役はいないのではないでしょうか。演技はシンプルに素晴らしく、フリー素材の役者を務めていたとは思えないほどのカリスマ感。シャン・チーというキャラクター自体も非常に魅力的なキャラだった。結構お堅い人物を想像していたのだが、かなりコミカルで愛嬌のあるキャラクターだった。その彼の良さを最大限に引き出していたのがケイティというキャラクターだった。物語におけるクッション的役割を果たしていて、彼女がからむコミカルなシーンはどれも面白かったと思う。オークワフィナは『フェアウェル』で観て、かなり印象的であった。今作のヴィランを務めたトニー・レオン演じるマンダリン。やっていることは悪いことだけど、その動機も理解できる。だからこそ主人公との戦いが印象的になる。トニー・レオンは本当にかっこよくて、今作の起用は大正解だと思った。

悪い点はなかったが、マンダリンと奥さんが惹かれあったのにはあまり説得力がなかったような気がする。そこがメインじゃないので、深堀しないのが妥当だが。

まだ明かされていないことが多く、早く続きが観たいと思わせてくれるような作品だった。ミッドクレ・ポスクレはかなり重要である。
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