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ハロウィン KILLSの消費者のレビュー・感想・評価

ハロウィン KILLS(2021年製作の映画)
4.3
・ジャンル
スラッシャー/サイコホラー/スリラー/リメイク

・あらすじ
6歳という幼さで姉、ジュディスを殺害し精神病院に収監されたマイケル・マイヤーズ
彼はその15年後、故郷であるイリノイ州ハドンフィールドで殺戮を繰り広げた
それから40年間、主たる標的とされるも生き延びたローリーは家族との仲を犠牲に復讐の時を待ち構え続け、とうとう彼は彼女達の前に現れる
マイケルと対峙する中で娘、カレンの夫であったレイの命を奪われた一家だったが命を賭して戦いに身を投じ、とうとう彼の命は断たれたかに思われた
しかし彼はその悪運の強さで生き延び再び町は血で染められていく…
事態を知った40年前の生還者でローリーに守られた恩のあるトミーは惨劇の夜を経験した友人達と町民達を束ね捜索隊を結成
マイケルに報復を果たし長年続いた悪夢を終わらせようと動き始める
ハドンフィールドを蝕んでいくマイケルへの恐怖
それはやがて彼らの手で新たな混沌をもたらす事となり…

・感想
ジョン・カーペンター監督による‘78年の名作ホラー「ハロウィン」
そのオリジナルシリーズが完結し、2007年に製作されたロブ・ゾンビ監督によるリメイク作品2本の後にリブートとして復活したシリーズの2作目

前作では40年間、鍛錬を積み復讐の時を待ち続けたオリジナル1作目の生還者であるローリーと娘のカレンと孫娘のアリソンの3人がマイケルの再来を通して深まっていた溝を埋めていく家族再生の物語となっていた
老女と老いた殺人鬼の殺し合いは彼女の家に配備された厳重なセキュリティや隠し部屋、武装などを伴う迫力のある物でリベンジ物としての見応えは十分
ロブ・ゾンビ版ほどではないものシリアス路線の追求として悪くない内容だったと思う

しかし個人的には俄然、今作の方が圧倒されたし好きだった
ロブ・ゾンビ版の様にこちらも社会派性が極めて強く感じ取れつつも焼き直しにはなっておらずまた違った視点で“恐怖”という物を描いていたのがとにかく素晴らしい

伝染する恐怖によって一丸となった町民達の集団心理が暴走し、彼ら自身が脅威になってしまう過程が克明に描かれていて途中まではアメリカらしい郷土愛による団結となっていた様相が一気に崩れ落ちていくのはむしろそれに対するアンチテーゼへと姿を変えていくのが凄くリアル
こういう風に暴動って起こってしまうんだろうな、と
今作はあくまでリアルでの暴走だけど事態の変遷はネット上の炎上等にも通じる物で考えさせられる

その上でマイケルの凶行におけるゴア描写はよりグチャグチャに強化されていたのも良い
基本的に彼は刺殺、撲殺、絞殺によって命を奪うんだけどそれを維持しながらも痛々しさが増していたし、車を盗んでの戦闘シーンは中でも魅力的
それに繋がる部分だとローリーとフランクの会話を通してマイケルの怪物性と人間性を矛盾させず描いていた点もオリジナルシリーズとロブ・ゾンビ版を組み合わせた様な人物像を示唆していて過去作への経緯が感じれたのも嬉しい

そして細かい点で言うと変に意味を持たせずゲイカップルを登場させていたのも現代らしくてちゃんとしてるなぁ、と
何かとポリコレ叩きをする人達が昨今は多いけどこういうのって社会を変えていく上でやっぱ重要だと思う

とりあえずこのリブートシリーズは次作で終了っぽいけどどう締め括るんだろうか
恐らくまたローリーが戦う復讐譚になるんだろうけど前作と今作がそうだった様に世界観を捻じ曲げず且つ新たな視点を見せる内容になっていると良いな…
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