TaichiShiraishi

ハスラーズのTaichiShiraishiのネタバレレビュー・内容・結末

ハスラーズ(2019年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

これはいい。グッドフェローズっぽいけどグッドフェローズより好き。

爽やかな犯罪実録映画。

冒頭でジャネット・ジャクソンの『control』が流れるとおり、これはコンスタンス・ウーが演じる主人公デスティニーの自立までの物語。

圧倒的なジェニファー・ロペスの美しさ、かっこよさ、存在感も、そこからの自立の難しさを表すための要素として機能していた。

ラモーナの物語としても面白かったけど。

最後まで未練たらたらだったグッドフェローズのレイ・リオッタとは大違い。

そして世知辛い現実も描いた、エンパワーしすぎないガールズ・エンパワームービーとしても素晴らしかった。さっきも書いたけどジェニファー・ロペスの初登場のポールダンスのかっこよさは異常。ほんとに50オーバーかよ。性的なのに媚びてる感じが全くないのは驚異的。
それに対し明らかな受身顔のコンスタンス・ウーの対比も良かった。

ストリッパーたちの楽屋でのやり取りのカラっとした気持ちよさも最高。男側に全くメイン的な人物がいないのも徹底していた。とにかくこれは女の話。

最高の2007年が金融危機でぶっ壊れて、そこから復讐に転じていく流れもスムーズ。衝撃の実話って言うけどまあこれくらいはやってやりたくなるよね。男達にはできない復讐方法。もはやリベンジよりもアベンジに近い。

ちなみに主犯4人の中では白人のあの子がわかりやすくカワイ子ちゃんで眼福でした。

しかし利益を優先し、ダメな仲間も増やしたことによる崩壊も定番。

そしてこの映画は思ったよりも倫理的な話だ。

彼女たちが当初罪悪感がなく男たちを騙していたのは彼らの方が悪いという思いがあったから。

しかしだんだんと目先の利益のために、デスティニーたちは倫理的優位性を失い、チームとしても崩壊していく。

ちなみに男たちがデスティニーたちに騙されても事件が表面化しなかったのは「女に溺れて金を取られたなんて言えないし恥ずかしい」という後暗い事情と男としての意地があったからなのだが、被害者のうちのとある人物がそのくだらないマッチョイズムのレールから降りたことから事件が明るみに出るという展開になっていくのも面白い。

男たちが作った社会は女性たちに犯罪をさせ、当の男たちも息苦しくさせているのかもしれないと考えさせられる。

という風に男性側の問題も描いていた。

でも、デスティニーにインタビューしてたジャーナリストがその話をした時に、聞いた刑事たちが「怖いな~安心してストリップバー行けないじゃん」と笑うのを見てる時の女性ジャーナリストの「お前らいい身分だな」って目が忘れられない。そんなの全然死活問題じゃないだろっていう。

まあとにかく、狂乱の青春が終わるまでの物語としてよくできていた。そしてその青春の終わり方が爽やかで前向きだった。司法取引でラモーナを売るのもグッドフェローズと同じだけど、後味が違う。


ストリッパー時代に贅沢していた分、生活レベルを下げるのも難しく、ただ生きていられれればいいという問題じゃないところもしっかり描いてたし、僕は犯罪者が自業自得で捕まった話とは思いません。ただあの男たちも可愛そうだけど。巨悪はもっと別にいるよね。