ヤーミール

アラビアンナイト 三千年の願いのヤーミールのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

面白かった!
物語論の研究者であるアリシアが出先で買った古いガラス瓶には、3つの願いを叶えてくれるジン(魔神)が閉じ込められていた!しかし世界中の物語に通じているアリシアは、願いに関する物語の多くがバッドエンドだと知っていた。そもそも自分の人生に満足しているので願いも思いつかないし、無難にやり過ごそう…とヒントを求めてジンの壮大な悲恋の数々を聞いているうちに、アリシアはジンに引かれていく。ジンに「自分を愛して共に暮らしてほしい」という願いを告げ、幸せな生活を送ることにした2人。だが、現代社会での生活はジンへの負担が重すぎた。アリシアが3つ目の願いとして「あなたが楽にいられる場所に戻って」と告げたことで、ジンはついに幽閉の呪いからも解放される。その後、2人はジンの体調に合わせてたまに会う生活を送ることで愛と体調の折り合いをつけたのだった。

幻想的な映像がすごくロマンチックですごかった。
アリシアがジンを好きになる?とこはかなり唐突だと思ったが、まあ恋愛ってそんなもんだしなぁ…とも思った。
後先考えずに願いを叶えたり、内容に関わらず願いを叶えたりするジンの人外らしい身勝手さもよかった。
初見で「ボスポラス海峡に沈め!!!」と喝破した砂糖姫、えらい。
ポルノグラフィティの「アゲハ蝶」「サウダージ」「ジョバイロ」「メリッサ」あたりのPVをめちゃくちゃお金かけて作ったらこんな感じなのかな…と思った。
「相手のことを思って相手のために願うことが真の愛」という願い事の種明かしもよかったし、呪いから解放されたジンが自分の意思でかつ体調に折り合いをつけて「ときどきアリシアの前に現れて一緒に暮す(そして別れがたいので体調が崩れるまで長居しちゃう)」というのも真の愛の具体例としてとてもよかった。

ただ、アリシアがジンを好きになった理由が全くわからないので、「結局恋愛か〜」「結局セックスか〜」という感じはした。
ジンの話は興味深いが、それは歴史的なスケールが大きいからとか、当時を生きた人々の生き生きとした様子がうかがい知れるからであって、ジン本人の魅力とかはイマイチ伝わってこない…というか話の中のジンはかなり身勝手だし可愛げもない。
単に「生きていくには物語が必要」という話なら友人や家族でもいいのでは?と思った。
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