ヤーミール

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのヤーミールのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

面白かったし、すごくジーンとしてしまった!
渡米してコインランドリーを夫婦で切り盛りしている中国人女性のエブリンは、フワフワしていて頼りない夫、反抗期&レズビアンの娘、いきなり中国からやってきた父、そしてお手入れ必須のボロいコインランドリーと癖の強いお客、手強い税務処理に振り回されてばかりの毎日を送っている。ある日、確定申告?のために国税局を訪れたエブリンは、豹変した夫から「君こそが、謎の存在・ジョブによって滅びつつあるマルチバースの救世主だ」と告げられる。他のマルチバースの自分が持っている特技をインストールして戦う術を教えられたエブリンは、最初は戸惑っていたものの次第に適応。しかし、謎の存在・ジョブの正体が、別の宇宙のエブリンに強いられて限界を超えて全宇宙を渡り歩かされ虚無に囚われてしまった娘・ジョイであることが発覚。ジョイに全宇宙と虚無を見せられたエブリンも同じように虚無に囚われてしまう…。しかし、自暴自棄に陥ったエブリンを情けない様子ながら必死にかばう夫・ウェイモンドを目にしたエブリンは自分を取り戻す。さらに、虚無に向かうジョイを母親として引き止め、彼女と正直に話し合って彼女を送り出し、彼女が虚無から戻ってくるのを手伝うことで、娘と宇宙を救うことに成功する!という話。

最初はわけがわからないが、気づかないうちに真面目な話になっていき、最終的には「人生という虚無の暗黒にどう立ち向かって行くか?」というものすごく重大な問題を打破してくれる世にも奇妙な物語。

気が散りやすくていつもあれこれ気にしていて独善的で外面は取り繕っているけど内面はバレやすくて…というエブリンの性格がものすごくリアルでよい。うちの祖母や母や大学の教授とそっくりで笑ってしまった。多分私も似てるんだろう。

頼りなくてフワフワしてて気が利かなくて押しが弱くて生真面目で損しやすい性格のウェイモンドもとてもよかった。「常に楽観的であることは愚かなことじゃない。よく生きるための一つの術だ」という台詞がものすごくよかった、実際そう思う!!!「優しくなろう!」と大真面目に叫ぶ姿がとてもよかった。「優しさという強さ」を持つキャラがものすごく好きなのでとてもよかった。昔よく母に「なんでこんなお父さんと結婚したの?」と聞いて怒られていたのだけど、まさに「こんなお父さんだからこそお母さんには合ってたの」というようなことを言っており、まさしく「宇宙は親切で忍耐強い人を選んでくれた」だなと思った。

ジョイもものすごくよかった。虚無の女王としての悪さの中に母親への甘えが見え隠れしているのがとても可愛くてよかった。「同じもの(虚無)を一緒に見て、生き方を教えて欲しかった」というのは母親に期待があるからこその言葉だと思う。最初にマルチバースからやってきてエブリンに会ったときにエブリンに「娘がゲイだなんて」と言われて虚無の女王そっちのけで「私が女の子を好きになるのがそんなに嫌なの?」とキレてるのもよかった。

エブリンとジョイがいきなり
石になるシーンが絵本みたいで素敵だったし笑ってしまった。
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