ヤーミール

シン・ウルトラマンのヤーミールのネタバレレビュー・内容・結末

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

面白かった!!!ウルトラマンと人間の、めっちゃステキで浪漫あふれる友情物語でとてもよかった。ウルトラマンはあまり良く知らない(ガイア、ティガ、ダイナの薄い記憶とウルトラマンZだけ)はずなのに、なぜかわかる「ウルトラマンあるある」がたくさん詰まっていて楽しかった!特撮あるあるを流用できるからかもしれない。
・いきなり『シン・ゴジラ』と出てきて「嘘だろなぜ」と思ってたらシン・ウルトラマンに持ち直してくれてよかった。あのぐにゃ〜とした画面が元にもどるの、ウルトラマンあるあるでよい。
・いきなり「これまでのあらすじ!」が始まるので「ウワーッ!?」と思ったが割とまともなあらすじで禍特対がちゃんと頑張っていてよかった。「マンモスフラワー」の命名に時代を感じた、ウルトラマンあるある。
・怪獣の名前は大臣の趣味!で笑った。あとピーポくんみたいなカトクタイくんのぬいぐるみも笑う。
・電気を食べる怪獣、特撮あるある。あと核廃棄物処理施設が舞台になるのも特撮あるある。というか環境破壊がテーマになること自体が特撮あるあるなんだよね。笑った。
・道端でやたら大きな声で噂話してる子どもとか奥様、特撮あるある!
・ウルトラマンに「背びれ(スーツのファスナーを隠すための突起)」がないのはちょっと残念だった、あの背びれかっこよくて好きなので…。でもカラータイマーの代わりに体色が変わるのはかっこいい!
・アタッチメント付け替えできる怪獣、という設定で着ぐるみの使い回しを再現してて笑った。
・公安から出向してきてるしおそらく汚れ仕事や仲間を見捨てることも平気なはずと推測される神永さんがなぜ一人で死地に子どもを助けに行くのか?でも多分これは一体化したはずのウルトラマンにもわからなかったんでしょうね。だからずっと「人間のことはわからない」と言っていたのだろう。
・完結した個として生きてきたウルトラマンが浅見さんに「人間は協力して生きてる社会性のある生物なんだ」と説教されてビックリしてる場面は宇宙人との対話っぽくてよかった!でもコーヒーは各自で勝手に入れてほしいし入れさせないでほしい。公安どんな職場なの?
・ウルトラマンが書庫でレヴィ・ストロースの「野生の思考」読んでて笑った、というかウルトラマン化以前の神永くんはどんな人だったのか?ものすごい変人だったのでは…?
・ザラブ星人との戦闘シーン、夜の街をビュンビュン飛んでいてかっこよかった!ニセウルトラマンが浅見さんをムンズと掴んでた一方、ウルトラマンがやさしく両手で浅見さんを包んでいたシーン、両者の違いを表していてとてもよかった。ウルトラマンの大きな手に乗るのはみんなの憧れですね!!!
・巨大化浅見さんの動画や写真をメフィラス星人が謝罪とともに消してあげるシーン、人間の下品さに心底ウンザリしてる感じがよかった。こういう「人間より怪獣や外星人のほうが賢い・優しい・強いに決まってるだろ!」という感じ、信頼できて良い。人間は愚かなので。
浅見さんが巨大化後に動画や画像を拡散されたことについて「公安の仕事ができない!」と嘆いていたの笑った。もっと他に心配することあるのでは!?
・ウルトラマンと浅見さんの行方不明を報じる週刊誌の「夜のヘ・ン・シ・ン…?」が下品すぎて笑った、やはり人間は愚か…!
・メフィラス星人がベータシステムの対価に「メフィラス星人は人類の支配者であるという概念」を要求してきたのかっこよかった。
・浅見さんを中心にやたらとケツがフォーカスされるのは何の意味があるのか…?確かにウルトラマンの戦闘シーンってウルトラマンの背後から怪獣を撮ることが多くて結果的にケツにフォーカスしがちではあるよね。
・山本耕史のメフィラス星人が良すぎる。宇宙人にしか見えない。「河岸を変えよう」で居酒屋に移動するとこで笑った。「大の大人が二人、平日の公園で喋ってたら目立つ」、わかってるなら最初から居酒屋行けよ!!!そして一人だけゴクゴクパクパクモグモグしておいて割り勘するな!!!何もかもよすぎる。ゆるゆる白シャツだけのウルトラマンとビッチリ黒でビッチリ決めてるメフィラス星人の対比、最初は同じ方向を見てブランコを見てたのに途中で向かい合って最後は反対方向に立ちこぎすることで意見の相違を表現するなど、わかりやすくてよかった。
・悩むと神永さんが死んだ場所に来てドッグタグを握りしめながらその死を幻視するリピアくん、純粋で繊細な青年でとても良い。
・ゾーフィ、怖い。メフィラス星人が一瞥しただけで「よそう、ウルトラマン」と大人しく退散するほどの存在、納得すぎる。いきなりゼットン持ってこないでくれ。
・空にボヤ〜と映るゼットン、太陽系を吹き飛ばすとは思えないマヌケさでよい。遠目で見るとマヌケなので近くで見て戦った時の大きさと傷一つつけられない強さが余計に怖い。ポポポポポ…と鳴ってる音もよかった。
・ちょいちょい防災大臣と公安の人が善人でよい。
・外星人の科学力に打ちのめされてしまう滝くん若くてよい。ストレスに弱いタイプの船縁先輩が、ストレスを避けるために「絶望は人をおとしめる」と言って希望を手放さずに滝くんをちょっとだけ叱咤するのも大人の希望の持ち方って感じですごくよかった。そして神永の残した論文の序文を読み「ウルトラマンは神様ではない、すごい科学力を持っていたとしてもあくまで一人の外星人なのだ」と理解して、改めてその心意気とありがたみに応えるために自分の得意な科学で獅子奮迅する様子もとてもかっこよかった。でも職場でストゼロを飲むのはやめたほうがいいよ!
・ゼットン強すぎて泣くかと思った。ゾーフィ怖いよ!!!
・ウルトラマンが「人間滅ぼしたくない…人間わからない…」とフニャフニャ言うのを「そんなに人間を好きになったのか…」と総括し、それに納得&ウルトラマンの意思を尊重して引いてくれるゾーフィもめちゃくちゃ善人でよかった。職務に忠実であることと単に悪人であることは違うよね。彼は彼なりに宇宙や生命を愛して仕事しているのだ。
・ウルトラマンは、生前の神永がその命を投げ出して(神永から見ればただの無関係な他個体のはずの)子どもを守ったことに対して言葉にできない深い感銘を受け、その意図・理由・心を理解したいと思い、(神永の死は自分の過失でもあるので)彼と融合してその理解に努めたが、知れば知るほどやっぱりわからず、「全然わからない…なぜ…知りたい…」となり、そういう「わからないからもっと知りたい」という気持ちはつまり「好き」なんだよ、全てをわかることだけが「好き」じゃないんだよ、と教えてもらう、本当に空想と友情と浪漫の話だったのでよかった。メフィラス星人やザラブ星人は何度も「好き」と言ってたけどその言動はどう考えても地球人を馬鹿にしており、一言もそんなことは言わないウルトラマンのほうが明らかに地球人を好きなのがとてもよかった。
・公安の人に恫喝されて「恫喝は地球人のよくない一面だ…」とぼやくウルトラマン、地球人の良いも悪いもわかっているのが余計に愛を感じた。そのあと速攻で「対等な交渉」と言いながら恫喝返ししてて笑った。
・最初はしれ〜っと禍特対の現場に戻ってきてたしコーヒーも入れないしすぐ単独行動してたウルトラマンが、浅見さんが「バディだから」助けに来てくれると信じるようになり、禍特対のみんなに「力を貸してほしい」と言うようになり、「仲間との話し合いを優先したい」と言うようになり、滝くんのアイデアを採用するようになり、徐々に友情を深めていくところがとてもよかった。
・初代『ウルトラマン』ではハヤタ隊員は最後に生き返ったときウルトラマンの記憶を覚えてないらしいのだけど、神永くんはどうなのかな…。
・クレジットに庵野秀明が20人ぐらいいて笑った。映画制作の私物化!!!
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