TakahisaHarada

KCIA 南山の部長たちのTakahisaHaradaのレビュー・感想・評価

KCIA 南山の部長たち(2018年製作の映画)
3.6
朴正煕暗殺事件に至る40日を描く。謎が多い実際の事件に対して、1つの解を与える系のフィクション作品。

同じく歴史を描いたタクシー運転手や1987に比べるとノワール色が強くて、マフィア映画的な虚しさがある。
アイリッシュマンに近いという町山さん評とか、"暗殺"という響きから最後は2人で人知れず…という展開を予想してたので、思ったより大胆な出来事に驚いた。(史実だけど)
キム部長の動機は大統領への不信感(パク部長の件での裏切り、クァクへの傾き、民衆の軽視)が大きいように思えた。キム部長の野心という話も度々出てきたけど、あれだけのことをしてラスト、行き先を変更せずKCIAに戻っていたら大統領になる未来もあったんだろうか…それはそれで怖い話だなあと思う。

序盤の展開が複雑で混乱した。事前知識がないと尚更だと思う。
キム部長とパク部長の会話からイアーゴの正体解明も1つのテーマなのかなと思ったら全然出てこないし(ラストで描かれてたように結局全斗煥がイアーゴだったってことなのかな?)、キムもクァクもパク部長を狙っているというのも分かりづらかった。

キム部長もパク部長も最後には靴を片方無くす様子が描かれていて、監督曰く「同じ運命を辿る2人を1人の人物かのように見せるためのシンボル」らしい。それを踏まえると「部長たち」という邦題も頷けるなと思った。
https://pandafujin.com/movie-themanstandingnext-spoiler/#i-5