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KCIA 南山の部長たちのmayaのレビュー・感想・評価

KCIA 南山の部長たち(2018年製作の映画)
4.0
アイリッシュマンとテーマやシチュエーションがよく似てるのでワクワクしながら観たのだけど、アイリッシュマンよりも愛からの憎への振り幅がデカくてびっくりした。全員悪人、全てを終わらせるしか道はない。結末がアシュラと被るとは...。キム部長は結局民主化のために大統領を殺したようにセリフ上はなってるけど、イ・ビョンホンの演技で「いや、可愛さ余って憎さ百倍の方が動機として強くない、、?」というチグハグさ画面からビシビシ伝わるのが絶妙。アイリッシュマンは殺した後に後悔があったし、殺す時も葛藤があったけど、本作は殺すときの台詞が「貴様は死ね」「お前は革命の裏切り者だ」なのが、もう憎しみ500%でとても良かった。
「民主化の夢」が彼らを繋ぐキーになっているけれど、過去の青春パート等は一切出て来ず、最後の40日間を淡々と終わりへ突き進む構成なので、ストイックで静かな緊張感が絶えない。「私はお前のそばにいる」は「殺せ」という指令であると同時に、実質「殺したら次はお前を始末する」になってしまってるの、独裁者らしい発想だなぁ。
朴大統領、菅総理にあまりにも似ていて何度かほんとに見間違えた。目つきや空気、取り巻く周りのどうしようもなさ。独裁者の朝礼に参加するのがたった4人、というのも、閉塞感やどん詰まり感があって、外では大騒ぎになっているのに一切その情報が入らず、世の中が見えなくなっているのも、「もしかして今の菅総理、この状態なのでは」と感じてしまった。
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