Yukenz

KCIA 南山の部長たちのYukenzのレビュー・感想・評価

KCIA 南山の部長たち(2018年製作の映画)
3.8
本作は韓国で光州事件が起こる前の1979年、当時の軍事政権として権力を掌握していた朴正煕大統領が殺害された事件をもとにしている。

韓国における民主化の歴史を知るうえで重要な出来事。作中では絶対的権力を有する大統領が「閣下」として崇め立てられ、彼を取り巻く男たちの忠誠心とライバルたちへの対抗心とがヒリヒリと伝わってくる。

KCIA(大韓民国中央情報部)のキム部長がパク大統領を殺害するに至る軌跡を緻密に描く。イ・ビョンホンはじめそれぞれのキャストが役になりきっていて、史実を基にしながらもストーリー展開が上手くまったく飽きさせない。

実際の当時の韓国では、この事件のあと民主化が進む雰囲気があったようだが、すぐまた全斗煥によるクーデターが起こり新たな軍事政権が確立される。その後1980年5月に戒厳令が布告されると抗議する学生や市民によるデモが活発化し、光州事件を引き起こすことになる訳だ。

このところ集中的に韓国の民主化に関する作品を見てきたが、知らなかった事が多く大変勉強になった。
多くの市民が軍事政権に対しNOを突き付け、その中でたくさんの方が命を落とした。そうしてようやく手に入れた民主主義。日本とは過程が違う。
民主主義を当たり前のように思っていた自分を戒めなければと思った次第。
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