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シン・ウルトラマンのTSのレビュー・感想・評価

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)
4.0
【令和に生まれたウルトラマン】84点
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監督:樋口真嗣
製作国:日本
ジャンル:アクション
収録時間:112分
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 2022年劇場鑑賞23本目。
 少し仕事が落ち着いたので公開初日に鑑賞できました。レイトショーなのに中々の人数。そして年齢層はやはり中年代の方々が多いなと感じました。僕自身も小さい時ウルトラマンにハマっていた記憶がありますが、怪獣の戦闘シーンしか興味なく、大人向きの難しいドラマは見れていませんでした。なので生粋のファンというわけでもありませんが、そんな僕でさえ懐かしく思える手法、BGMが使われていて心がほっこりしました。シンゴジラで成功を収めた樋口・庵野監督のコンビで世に放たれる、大人達がガチで作ったウルトラマン映画です。出来栄えでいうとなかなかといったところ。確かに賛否がわかれる点もありますが、娯楽映画としては十分面白かったと思われます。

 何故か日本だけに頻繁に現れるようになった「禍威獣(カイジュウ)」。通常の兵器では中々倒せずに、その対応に困っていく日本政府。そんな中、目を疑う存在が姿を現すのだが。。

 昔よく怪獣の玩具を集めたりカードを集めたり、見ながら懐かしい思い出が蘇ってきました。ただ、今シリーズは子ども向けのコンテンツなのは確かなのですが、出てくる単語が化学用語ばかりで非常に難しかったと感じた記憶があります。それは正直今も変わらず、このギャップがウルトラマンシリーズの面白いところだと思います。さて、今作はシンゴジラを意識しているのか、最初から高速であらゆる字幕が流れていきます。これには爆笑。てんで読ませる気がないほどのスピード。U-NEXTの1.5倍速で慣れている自分ですらかなり厳しかったので、多分全部理解するのは至難の業。最早これは確信犯であり、読ます気はさらさらないということなのでしょう。人物の肩書きや兵器の名前など、紹介しても人々はすぐ忘れてしまう。大事なのはそんなところじゃないと言いたいのでしょう。

 のっけからハイテンポで話が進み、禍威獣(なぜ漢字を変えたのだろう)を倒すために特別隊が編成されるのも全く役にたたない始末。これはシンゴジラとは対照的であり、あちらではこれといったヒーローがいなかったため、人々が集団となって挑みますが、今作ではそれすら無意味。なので最終手段、人々は神に縋るということなのです。その神に位置づけられるのがウルトラマンであり、ある意味シンゴジラと比べたらさらに現実離れしてしまったと言えるでしょう。

 それでも、他国の目を気にして行う外交や条約締結、緊急事態に陥れば他国より利権を得ようとする国の傲慢さはしっかりと描かれていて、ある意味この辺りはシンゴジラと同じく社会的メッセージを感じとれます。シンゴジラが上映された2016年ではコロナはまだ流行していませんでしたが、今作においてはモロにその渦中であるため、より一層その辺りのメッセージ性を強く感じます。

 具体的に出てくる禍威獣や外星人はネタバレになるので伏せますが、一つの作品にしては結構もりだくさんなので楽しめます。ただ、それらのビジュアルに関しては賛否がわかれそう。というのも、少しロボット的というか、近未来的なビジュアルなので生き物という感じがあまりしません。むしろ、50年前の特撮の方が生き物ぽかったような気すらします。ただし、バトルシーンやCGは邦画とは思えないほど高めのクオリティ。流石にハリウッドの大作と比べると見劣りしますが十分及第点であります。

 それにしても、改めて見たらウルトラマンとそれに立ち向かう外星人たちは強いなと思わされます。マーベルのヒーローやスーパーマンなど、こいつらも十分凄いと思ってましたが、いざ同じレベルでウルトラマンらを見せられるとレベルが違うと思わされてしまいます笑 作中で述べられるあらゆるものの単位がもう規格外。まさにウルトラであります。改めて令和において最新の技術を駆使して、その規格外の強さを痛感させられたと思いました。ちなみに長澤まさみが巨大化するシーンは不評ですが、あの時の異星っぽい効果音といい、禍々しい感じは初代ウルトラマンでも見覚えのある描写だったので、逆に良かったのではないかと思います。

 今作は賛否が大きくわかれているようですが、個人的には社会的メッセージも内在しており、邦画ではクオリティ高めのCGが連発するのでまずまず楽しませてもらいました。どちらかというとシンゴジラと同じく大人向け。子どもも鑑賞できますが戦闘シーンしか楽しめないかもしれません。家族で見にいくかどうかは悩まれるところです。
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